身近な商品やサービスから見える経済の歴史的変遷

身近な商品やサービスから見える経済の歴史的変遷

企業に歴史あり!

ものづくり分野を中心に、高い技術力をもつ日本企業ですが、そうした技術力をもともと備えていたわけではありません。明治期以降に誕生した多くの企業が、当時世界最先端の技術力をもっていたアメリカやヨーロッパの企業から多くのことを学び、それを発展させていったのです。
大手家電メーカーやエレクトロニクス系企業の中にも、外国企業の子会社をルーツとしている企業が多くあります。また、MRI(磁気共鳴画像装置)や放射線機器といった医療機器は、はじめに開発した欧米のメーカーが日本企業と提携し、日本の市場に合うように小型化させました。

貿易規制の歴史と現状

日本企業は多くの技術を外国から取り入れましたが、その半面、外資系企業が日本で自由な経済活動をすることは長い間制限されていました。例えばコカ・コーラも、日本で販売されるようになるまで多くの時間を費やしました。その背景には、国内のドリンクメーカーを保護しようという国の方針がありました。こうした貿易に関する制限は、「規制」と呼ばれます。コカ・コーラ社は大手財閥系の企業と提携することで、ようやく規制の壁を乗り越えました。今日の日本では、外資系企業に関する規制はほとんどなくなりましたが、中国やブラジルをはじめ、世界には規制を強めている国も多くあります。

企業経営の歴史的変化から見えてくるもの

グローバル企業の経営も、年を追うごとに変化してきました。世界中に展開するマクドナルドは、かつてはどの国でも同じメニューを提供していましたが、現在では、日本に「てりやきマックバーガー」があるように、その国や地域に合わせて経営戦略を変える「ローカリゼーション」を行うようになりました。同様に、スイスを代表する企業・ネスレも、おなじみの「キットカット」をはじめとして、日本に合わせた商品展開に力を入れることで市場を獲得しています。
このように、企業の歴史を追うことで、世界経済の変化や技術・貿易の発展など、幅広い経済的知識や知見を得られるのです。

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大阪大学 経済学部 経済・経営学科 教授 ピエール=イヴ・ドンゼ 先生

大阪大学 経済学部 経済・経営学科 教授 ピエール=イヴ・ドンゼ 先生

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経営史学

メッセージ

これからの社会では、「グローバルマインド」がより求められるようになるでしょう。グローバルマインドを持つということは、単に英語力を身につけるということではありません。自分の国や社会のことだけではなく、さまざまな国の文化や歴史を学び、他者を理解する力を身につけることなのです。
私が専門とするグローバル経営史は、そうした理解力を備えるにはとてもよい学問です。世界で活躍する企業の歴史を学ぶことは、経済の勉強だけでなく、自分の視野を広げることにもつながります。

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自由な学風と進取の精神が伝統である大阪大学は、学術研究でも生命科学をはじめ各分野で多くの研究者が世界を舞台に活躍、阪大の名を高めています。その理由は、モットーである「地域に生き世界に伸びる」を忠実に実践してきたからです。阪大の特色は、この理念に全てが集約されています。また、大阪大学は、常に発展し続ける大学です。新たな試みに果敢に挑戦し、異質なものを迎え入れ、脱皮を繰り返すみずみずしい息吹がキャンパスに満ち溢れています。