身近にあっても謎だらけ! 「ソフトマター」の不思議を解明せよ!
「ソフトマター」って何?
ソフトマターとは、ゴム、プラスチックから、ゼリーやマヨネーズなど、柔らかい性質を持つ物質の総称です。私たちの身のまわりのあらゆるところに使用されているソフトマターは、機能性新規材料を開発するための有効な素材として、研究が進められています。液晶ディスプレイのような工業製品だけではなく、食品や医薬など、あらゆる分野に利用できる可能性を秘めた素材として、注目を集めています。
固体であって固体でない?
ソフトマターは、固体と液体の中間状態であり、固体や液体、気体の特徴を同時に持つこともあります。ゼラチンなどのゲル状物質は、熱を加えると流動性を持つゾル状になり、内部で対流現象が起こり始めます。発泡スチロールは、固体と気体の性質をあわせ持った素材です。ガラスも、ソフトマターの一種として知られています。常温では固いですが、液体のような構造と特性を秘めているのです。
温度変化で姿を変えるその実態を探る
ソフトマターの大きな特徴としては、温度や圧力など、環境の変化に影響を受けやすいという点が挙げられます。洗剤の材料として使われている界面活性剤は、水に入れると、自発的に集合体を形成することが知られています。自然とかたまりを作るのです。それらの集合体は、温度変化に敏感で、温度勾配という温度の「むら」を作ってやると、濃度勾配、つまり濃度の「むら」が誘発されます。温度と濃度が複雑に影響し合い、物質の動きも複雑になります。その複雑な変化を、いかにシンプルにモデル化していくかが、研究の課題となります。
こうした温度勾配は、実験室で人工的に作り出すのですが、実は日常生活においては、均一な気温であることのほうが珍しく、常に不均一な温度変化にさらされていると言えます。ソフトマターの温度勾配下での変化を研究することは、日常の空間において、ソフトマターがどういう性質を示すのか、ということの研究にもつながっているというわけです。
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先生情報 / 大学情報
東京都立大学 理学部 物理学科 准教授 栗田 玲 先生
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ソフトマター物理学先生への質問
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?