指先で、緊張状態がわかる!

指先で、緊張状態がわかる!

状況により心拍数は変わる

あなたが満員の聴衆を前にしたステージに立ったとしたら、緊張で胸がドキドキするのを感じるでしょう。これは決して気のせいではなく、実際にあなたの心臓の活動は平常時とは変わっています。人間の体は心理状態と直結しているところがあり、何らかのストレス状態に置かれると、対処しようとするのです。
ただし、どんな場面でも心拍数が増えるというわけではなく、逆に減ることもあります。例えば時間までに課題を終わらせなければいけないなど、目の前にあることを乗り越えなければならないときは心拍数が増えます。しかし、ひたすら嫌な状況に耐えなければいけないなど、忍耐が求められるときは逆に心拍数は少なくなることもあるのです。

自分の心理状態を知るには

通常、心拍や血圧は自律神経により自動的にコントロールされていて、自覚することはできません。しかし体に表れた反応を機械で計測することにより、把握することはできます。
例えば心拍や指先の温度、発汗作用などは交感神経の活動状態などによって影響をうけます。人がストレスを感じて交感神経の活動が上がれば、末梢の血管が収縮して指先が冷たくなったり、手に汗をかいたりします。それらを測れば、そこから体の状態だけでなく心の状態も判断することができるのです。

ストレスはセルフコントロールできる

自分の体が置かれた状態がわかれば、心と体をコントロールできるようになります。例えば心理的に緊張しているときに、リラックスした状態をイメージすることで心を落ち着かせることができるかもしれません。逆に、緊張による体の状態を自分で知りそれを自分の意思で調節することで、心と体をコントロールする方法もあります。適切な訓練により、心拍や指先の温度など自律的な体の反応をコントロールするバイオフィードバック法はその一つです。この方法はストレスマネジメントや高血圧などの病気の治療、あるいは手足の麻痺や障がいのリハビリテーションなどで実際に応用されています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

東洋英和女学院大学 人間科学部 人間科学科 准教授 小林 能成 先生

東洋英和女学院大学 人間科学部 人間科学科 准教授 小林 能成 先生

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精神生理学

メッセージ

「ストレス」と聞くとマイナスのイメージばかりでとらえられていますが、決して悪いものではありません。
体に「スクランブル状態(緊急に対応しなければならない状態)」が起きただけで、生物としてはごく自然な反応なのです。深刻にとらえすぎず、うまく付き合っていくのが一番です。
また、心理学には難しいイメージがあるかもしれません。しかし実は身近な問題を扱っていて、人間を理解するには欠かせない学問です。何より面白いですから、ぜひ一度触れてみてください。

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