講義No.07778 社会学

トイレは男女別が当たり前? 常識を〈疑う〉ことから社会学は始まる

トイレは男女別が当たり前? 常識を〈疑う〉ことから社会学は始まる

トイレは、なぜ男女で分けられているの?

私たちは普段、当たり前のように「男」「女」で分けられたトイレを使っています。しかしよくよく考えてみると、どうして「男」「女」で分けられているのでしょうか? 1950年代のアメリカでは、「白人」「有色」という人種で分けられていました。カリフォルニア州の小学校では、ここ数年で男女別のトイレが徐々になくなりつつあります。あなたの自宅のトイレだって、男も女も使っているのではありませんか? こうして考えると、「トイレ=男女で分かれている」という常識は、決して当たり前で済ませられることではなく、なぜそうなっているのかを考えるべき謎だということが見えてきます。

心と体の性が一致しない人は、どちらのトイレ?

そもそも性別とは何なのでしょうか。生物学的に人間は「男」「女」の2つに分けられると考えがちですが、「自身の性別に違和感を持っている人」、いわゆる性的マイノリティの人もいます。トランスジェンダーと呼ばれる、心と体の性が一致しない人にとっては、生物学上の区別(性別)によって使用するトイレを分けられることには苦痛がともないます。「男の体だから性別は男性」と決めつけられるほど、人間は単純なものではないのです。

どうしてその区別は存在するの?

「LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字をとったもの)」の問題が注目されるようになってきています。「トイレは男女で分かれているのが普通」「男性は女性を好きになるのが普通」というその「普通」に立ち止まって、どうしてそれが「常識」とされているのかを見直してみることが大切なのです。
性別以外にも人種・国籍・階層など、私たちの生きる社会には、たくさんの区別や分類が巧妙に張り巡らされています。その区別や分類に対して、「好き」「嫌い」、「正しい」「正しくない」と片付けるのではなく、それらが、どうして常識として成り立っているのかをとことん追究して考えることに、社会学の存在意義はあるのです。

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先生情報 / 大学情報

明治学院大学 社会学部 社会学科 教授 加藤 秀一 先生

明治学院大学 社会学部 社会学科 教授 加藤 秀一 先生

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社会学

メッセージ

「社会学」というと何をするのかイメージがわかない人も多いかもしれませんが、「人間は何を求めて生きているのか」という大きな問いに向かって、「今ここで、私たちが何気なくやっていることを調べて考える」学問です。
例えば食べること一つとっても、「誰と何を食べているのか」「その食べ物はどこからきたのか」など、突き詰めて考えれば多くのことが見えてきます。ほかにも、「恋愛や結婚」など個と個の関係から、「なぜ戦争は起こるのか」といった国家間の問題まで、研究対象は無限にあるとてもエキサイティングな学問です。

先生への質問

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明治学院大学に関心を持ったあなたは

150年以上もの歴史を持つ明治学院大学。本学の起源は、1863年にアメリカ人宣教医師ヘボン博士が開設した英学塾から始まります。無償で診察を行いながら、英和・和英辞典を編纂し、ヘボン式ローマ字でも有名なヘボン博士。その信念「Do for Others」を教育理念とし、本学ではグローバル社会に対応できる学術知識と教養を培い、他者とともに道を切り開ける人材を育成しています。