健康食品の効果は、どこまで信じていいのだろう?
身近な化学物質「ポリフェノール」
近年、ポリフェノールを配合した健康食品やサプリメントが話題を集めています。ポリフェノールとは植物が自らの身を守るためにつくっている化学物質のことで、紫外線を多く浴びる地域の植物に特にたくさん含まれています。
身近なものではお茶の葉にも含まれています。お茶の味の違いはポリフェノールの量によっても変わります。例えば苦味をなくすにはポリフェノールを減らすことが大切で、お茶の種類によっては、摘み取り時期に光を当てないようにするなどの工夫が凝らされています。
女性の強い味方?
そんなポリフェノールが、最近では人の腸内細菌で代謝されることがわかってきました。中でも注目されているのは大豆に含まれるポリフェノールの一種であるイソフラボノイドです。その代表格がダイゼインとゲニステインという成分です。
これらがある種の腸内細菌に触れるとエクオールという物質に変わり、女性ホルモンのバランスを整えたり、美肌にも効果があると言われているのです。ただ、これまでに大豆イソフラボノイド代謝菌の報告事例は少なく、扱う微生物自体も研究ごとに異なるため、その真偽は十分には明らかにされてはいません。
「菌活」に飛びつくのは危険
科学的メカニズムが明らかになっていないにもかかわらず、マスコミなどでは「菌活」といった言葉が盛んに使われています。エクオールに注目した健康食品やサプリメントも登場しています。ただし忘れてならないのは、今の段階でポリフェノールは「医薬品」には使われていないということです。どんな腸内細菌を持つ人なら、エクオールへと変換させることが可能なのか、ポリフェノールを摂取するリスクはあるのかなど、今後の科学的解明が待たれるところです。そして各研究機関からの発表に対しては、学校や病院、職場などの食生活を支える管理栄養士などが中心となり、正しい情報の収集・提供を行っていく必要があります。
参考資料
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先生情報 / 大学情報
修文大学 健康栄養学部 管理栄養学科 准教授 丹羽 利夫 先生
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