医療の「最適化」の中で薬剤師が果たす役割とは?
医療を「最適化」する仕組み
医療の現場では常に「最適化」が求められています。そのツールとしてクリニカル・パス(以下、パス)が注目されています。これまで医師の治療は十人十色、自分が慣れているプロセスや薬を使うことが主流でした。パスはある症状の患者の8割がその治療で済むという治療モデルをつくり、工程管理を最適化するものです。このパスを新たに開発・活用していくことで、逆にパスを適応できないような重症患者や特異的な患者に対して、十分な治療を施すことが可能となります。
統計・データ解析の技術を活用し薬物治療を最適化
薬物治療を「最適化」するためには、ある薬を投与された患者の、性別や身長・体重、腎機能や肝機能の数値、生活習慣といったデータを集積し解析するという研究アプローチがあります。
このような解析結果を活用することで、実際に医療現場で目の前にいる患者に対して、有効かつ副作用の少ない最適な薬物治療を行うことができます。
例えば、あるC型肝炎の薬には、止血の役割を担っている血液中の血小板が減少し出血しやすくなるという副作用が生じます。しかし、これは、人によって副作用の発現度合いや、発現までの期間は異なります。このような傾向を解析により明らかにすることで、事前に、副作用の発現リスクを減少させることができます。
最適化のために、チーム医療で薬剤師ができること
最近では薬剤師が聴診や触診など、診察に近い行為も実施されるようになってきました。このような状況の中、重要となるのは薬剤師だけの専門性を持つということです。それが、最終的に医療の「最適化」につながります。例えば糖尿病に認知症を合併している患者の薬の飲み合わせについてみても、薬の化学構造や薬物動態などの見地から薬物治療を判断することなどは、まさに薬剤師の専門性といえるでしょう。こうした部分において、薬剤師の専門性が発揮され医療は「最適化」されることになります。
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先生情報 / 大学情報
帝京平成大学 薬学部 薬学科 教授 濃沼 政美 先生
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