救急救命士にできること
仕事の幅が広がる救急救命士
救急救命士は救急隊の3人のうちの1人として、消防署から救急車で出動します。プレホスピタルケア(病院前救護)が役割で、病気やけがの悪化を防ぎ、苦しんでいる方の痛みなどを和らげます。もし呼吸が停止している場合は、蘇生が最優先の目的です。病院に到着後は高度な医療に託します。救急救命士が病院に勤務するケースもあります。2021年の法改正により、院内で資格を生かした医療処置ができるようになりました。このような病院前救護については、都道府県や各地域単位に設置されている「メディカルコントロール協議会」という組織よって、質が保障されています。
トレーニングされた巨大駅
救急搬送の現場を少し見てみましょう。東京都では、駅のホームで朝の通勤ラッシュ時に倒れる方が多くいます。救急隊は駅員と連携しますが、周りの人がいかに的確に動くかも大事な要素です。東京駅のような巨大な駅では、駅員もトレーニングを受けており、通行人も多いので、患者は早めに発見されます。通行人が119番通報をすることもあります。駅員がAED(自動体外式除細動器)の処置や心臓マッサージをしている間に、救急隊は駅員の誘導で担架式ストレッチャーが乗れるエレベーターを経由し現場に行きます。患者を引き継ぐ時に発見者からも情報を収集し、救急活動を展開します。
高校生の行動力で明暗分ける
一般の方がAEDを使えるようになったのは2004年からです。高校生が緊急事態に活躍した事例も数多くあります。例えば部活の練習中に、部員が倒れて意識不明になってしまうケースでは、居合わせたほかの生徒がグラウンドの管理事務所へ行って119番通報をし、AEDを手順通りに使ってから心臓マッサージを行うなどしました。適切な処置をされた患者は自力で歩いて退院するケースもあり、救急救命に大きく貢献しています。このような、救急隊の到着前の周囲の協力があってこそ、命は救われるのです。
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先生情報 / 大学情報
帝京平成大学 健康メディカル学部 医療科学科 救急救命士コース 准教授 峠 聡 先生
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