薬と栄養との相互作用をチェック! 薬がわかる管理栄養士の活躍

薬と栄養との相互作用をチェック! 薬がわかる管理栄養士の活躍

薬と栄養との関係

調剤薬局やドラックストアでは、患者から栄養について聞かれることがよくあります。糖尿病のように食事療法が必要な病気もあり、「高血圧の薬を飲んでいる人はグレープフルーツジュースを飲んではいけない」といった飲み合わせにも注意が必要だからです。グレープフルーツジュースが禁忌の場合、生のグレープフルーツは食べてもよいのか、ゼリーは、ほかのかんきつ類はと、患者はさまざまな不安や疑問を抱きます。高齢になっても、持病があっても食事を楽しみたい人は増えており、患者を支援するために、薬局に「薬がわかる管理栄養士」を配置する取り組みも行われています。

相互作用を理解した幅広い栄養指導

高血圧や狭心症などの治療に使われるニフェジピンという薬は、小腸から吸収されるときに、ある代謝酵素の働きで一部が代謝されてしまい薬効を失います。1回に飲む薬の量は、失われる薬効も考慮して定められています。しかしこの代謝酵素は、グレープフルーツの果皮に含まれるフラノクマリン類という成分も代謝します。そのため一緒にとると薬の代謝がフラノクマリン類によって阻害され、薬効が強くなるのです。このような薬と栄養との相互作用はさまざまにあり、仕組みを理解すると「みかんにはフラノクマリン類が含まれていないので、食べても大丈夫です」と言えるような、幅のある栄養指導につながります。

患者に寄り添う、新しい栄養指導

最近ではがんになっても入院は短く、通院で治療を受けることが増えました。病院での栄養指導にとどまらない新しい栄養指導の研究として、薬がわかる管理栄養士をめざす学生と薬剤師などが連携した、がん患者が安心して食べられるメニューの開発が進んでいます。がんの種類ごとに薬と栄養との相互作用を調べて、抗がん剤の副作用に多いだるさや口内炎などがあっても喉を通りやすく、自宅で簡単に作れることを重視しています。何を食べたらよいのだろうと困っている多くの患者に届くように、完成後はWebでの公開が予定されています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

城西大学 薬学部 医療栄養学科 准教授 古屋 牧子 先生

城西大学 薬学部 医療栄養学科 准教授 古屋 牧子 先生

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薬食相互解析学、公衆衛生学

メッセージ

管理栄養士による栄養指導は、以前は対面で行うものでしたが、コロナ禍を機にオンラインでも行うようになりました。インターネットやスマートフォンの普及で社会が大きく変わったように、きっと20年後の未来も変化しているはずです。医療は予防医療へ、超高齢社会が求める方向へと、さらに大きくかじを切っていくでしょう。あなたが進んでいくこれからの社会ではどんな栄養学、どんな管理栄養士が必要になっていくのでしょうか。今ある物事にとらわれることなく、新しい未来を一緒に考えていきましょう。

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城西大学は、文系・理系・医歯薬系の5学部8学科で構成された「国際性」・「専門性」を学べる総合大学です。
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