すべてはとらえ方次第? スポーツとメンタルヘルス
トップアスリートの特権ではない
大舞台に強い選手、苦境に抗い結果を残す選手は時にトップアスリートと呼ばれ、総じてメンタルの強さを持ち合わせています。しかし、このメンタルの強さは一部の人間のみが生来持ち得る特殊な能力ではありません。ではそこには何が影響していて、どう向き合っていくべきなのか、これを解き明かすのがスポーツにおけるストレス対処力とメンタルヘルスの研究です。
科学的アプローチで改善の可能性
ストレス対処力の獲得には、後天的な要素が大きく関わってくることがわかってきています。競技における環境や指導者との関係性、日常生活での経験など、あらゆる要素が含まれますが、これらが複合的に絡み合ってストレス対処力が獲得されメンタルヘルスに良い影響を与えていくと考えられています。
メンタルヘルスに不調をきたした場合でも、科学的なアプローチによって予防、改善の見込みがあります。音楽や空間など心身がリラックスできる環境に身を置くこと、調子が良い時の自身の映像を見て成功体験を反すうするなど無数の方法がありますが、大事なのは「不調になったトリガー」を把握することです。そのため、ストレスを受け流す技術やプレッシャーに打ち勝つための知識など、専門的な知識を有する「日本スポーツ心理学会認定スポーツメンタルトレーニング指導士」の存在も注目度が増しています。
ストレスもとらえ方次第で成長の糧に
研究では、同じストレスに対してメンタルヘルスが不調になる選手となりにくい選手がいることが分かってきており、さらに、不調になりにくい選手にはある共通点が見つかりました。それはストレスに対して「乗り越えることで自分の成長が実現する」という考え方を持っているということです。今後、どうしてこういったとらえ方を獲得できるようになったのかがわかってくれば、多くの選手に応用できる可能性が高くなります。能力はあるのにメンタルが弱いことで日の目を浴びなかった選手たちを引き上げることができて、さらなる競技力向上にもつながるはずです。
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