「アートの世界」は、可能性に満ちあふれている!
生きるためのアート
美術や芸術を表す「アート」という言葉は、「建築術」「医術」「呪術」という意味を持っていました。今は、より専門的なものとして受け取られがちですが、生きているという実感がともなうものにアートは深く関わってきたとも言えます。
芸術性の高い観光スポットとして有名な古代ギリシャのパルテノン神殿は、建築物として「黄金比」をはじめ、西洋の2つの美の基準も示されています。そこに絵画や彫刻で作られた神々が安置されていました。もともとパルテノン神殿は、祈りを捧げる場所であり、人々に生き方の方向性を示す術(すべ)だったのです。
美術館に展示してあるものだけがアートではない
自分の想いを伝える表現手段の一つとして、絵画や彫刻があります。例えば、いくら絵画を描くのが得意でも、誰かに伝えたい!という強い気持ちがなければアーティストにはなれません。アートにはまた、音楽や文学とつながったり、ダンスとつながったりしながら、表現されている世界もあります。美術館、ギャラリーに展示してある絵画や彫刻だけがアートではないということです。アートの世界はとても広いのです。
地域と密着! アートを生かしたまちづくり
2004年から、「福島現代美術ビエンナーレ」という芸術祭が隔年で開催されてきました。福島県を拠点にしている美術関係の若者と大学生が中心となって始動したこの活動は、東日本大震災の翌年も中止されることなく開催され、とりわけ震災後は、福島に住む人々に「夢と活力を感じてもらう」という意味合いも加わりました。
藝術の「藝」という字には元来、「若苗を植え育てる」という意味があります。「福島現代美術ビエンナーレ」には、福島という地域の中で、芸術活動を通して「文化」を育てていきたいという想いも込められています。福島では震災による目に見えない子どもたちの不安を、アートという目に見えるものを通して支援するなど、地域の展望をひらくさまざまな取り組みが行われてきました。アートにはそんな役割を果たせる力があるのです。
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先生情報 / 大学情報
福島大学 人間発達文化学類 教授 渡邊 晃一 先生
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