「人間力」のすべてを注ぎ込んで映画を撮る!
自分の人生に関係のない映画なんて撮らなくていい
あなたが最初に映画を撮るとしたら、おそらく自主映画でしょう。授業の課題か、サークル活動の一環かもしれません。自分でつくる映画なのだから、当然自分のそれまでの人生を何らかの形で反映したものになります。それは自分とかけ離れた設定のSFやファンタジーの形をとったドラマであっても一緒です。
テーマを決め、脚本を書き、撮影・編集をして上映する全過程で、「自分」が問われることになります。初めて映画をつくるのに、自分の人生に関係のない映画なんて撮る必要はないのです。自分と周囲を見つめ直し、今の自分にしか撮れないものを自分流に表現してみることが自己の成長につながります。そしてその1本は、将来あなたが職業的な映画監督になって、依頼された作品を撮る立場になっても、大切な礎となるでしょう。
映画は「人間力」がものを言う芸術ジャンル
デジタル化が進む現在、映像をつくる機材もコンパクト化し、安価に使えるようになりました。企画や脚本だけでなく撮影、録音、美術、編集、出演すらすべて一人で行う「映像作家」的なスタンスで作品をつくることもできなくはありません。しかし、実際どんな映画制作であれ、回り回って他者の恩恵を得ていることが多いと言えます。また映画というジャンルの特徴は、「上映されて初めて成立する芸術であるということ」です。強い想いを基に、人と協力してつくり、上映の機会を設け、人に見てもらって評価される、すべてのプロセスで「人間力」がものを言います。
実践的経験を通して「人間力」を磨く
人間力は鍛えることのできるものです。交渉や調整のためのコミュニケーション能力は、必要に迫られさまざまな人と接することで高まります。ゆかりもない地方都市で若手監督や学生たちと試みた「スナメリの詩プロジェクト」では、宿泊、食事、移動、知恵、あらゆる協力を地元の人々に仰ぎ、協働でオムニバス形式の映画集を完成させました。このような事例は、映画制作の可能性を広げるものとしても注目されています。
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先生情報 / 大学情報
武蔵野美術大学 造形学部 映像学科 教授 小口 詩子 先生
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