社会の変化の最前線 現場で知る農学の奥深さ

社会の変化の最前線 現場で知る農学の奥深さ

社会科学としての農学

農学と聞けば、遺伝子組み換え実験をはじめとする自然科学との関連をイメージする人は少なくありません。しかし、日本の農学は文理融合の学問であり、自然科学的な研究だけでなく、食料・農業・農村に関わるさまざまなトピックを経済学や経営学などの枠組みを用いて分析するなど、社会科学的な研究も行われています。
例えば、農村では高齢化や人口減少が進展しており、これまでと同じ仕組みでは、農村を維持・管理することができなくなっています。高齢化や人口減少に対応しながら、農村を維持・管理するにはどのような仕組みが必要かを考えることは、重要な研究テーマの一つです。

食料の安定供給

食料の安定供給は、私たちが安心して暮らすためには欠かせません。ところが、近年では自然災害の増加、気候変動、生産者の高齢化、国際情勢の変化などにより、食料の安定供給を維持することが難しくなっています。食料が私たちの手元に届くまでの流れを見てみると、卸売業者や食品加工業者、小売業者、流通業者など、さまざまな業者が関わっています。食料を安定的に供給するための仕組みを考えるためには、生産から消費までに関わるさまざまな業者の相互関係を分析する必要があります。こうした相互関係を紐解いていくことで、食料品の質・量・価格の安定をどのように実現していくかを考えていきます。

研究の種は現場に落ちている

前述の食品流通のほかにも、グリーン・ツーリズム、都市から農村への移住、農業経営の継承など、幅広い研究テーマについての研究があります。こうした研究は、現場に足を運ぶ中で生まれています。身近な疑問・興味から「現場」というフィールドに足を運び、そこにいる人たちと信頼関係を築きながら研究を深めることは、社会のダイナミックな変化に直接触れることでもあるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

神戸大学 農学部 食料共生システム学専攻 食料環境経済学講座 准教授 髙田 晋史 先生

神戸大学農学部 食料共生システム学専攻 食料環境経済学講座 准教授髙田 晋史 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

農村社会学、食料産業論、農業経営学

先生が目指すSDGs

メッセージ

模範解答が求められる高校までの学びとは異なり、大学では教員さえも答えがわからない問題に向き合うことになります。好奇心や素朴な疑問を入り口に、それが研究になり得るのかを教員と学生が話し合って検討し、研究を進めていきます。研究を進めていく中で、当初設定していた問いや仮説の再設定が必要になり、研究の枠組みをいちから作りなおすこともよくあります。だからこそ、知識量よりも「答えがない問題」に対して向き合う根気が大切になってきます。ぜひ今のうちから粘り強く考えるという経験を重ねておいてほしいです。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

神戸大学に関心を持ったあなたは

神戸大学は、国際都市神戸のもつ開放的な環境の中にあって、人間性・創造性・国際性・専門性を高める教育を行っています。
また、神戸大学では、人文・人間系、社会系、自然系、生命・医学系のいずれの学術分野においても世界トップレベルの学術研究を推進すると共に、世界に開かれた国際都市神戸に立地する大学として、 国際的で先端的な研究・教育の拠点になることを目指します。