思春期にも寄り添い、性分化疾患の患者や家族を支える小児看護
性分化疾患とは
性分化疾患とは、人間の性の中で、性染色体、性腺、内性器、外性器のどれかが典型的な枠に当てはまらない体質のことで、思春期の第二次性徴が現れにくいといった症状も含まれます。
性分化疾患は伝えにくい?
例えば性分化疾患を持つ思春期の子どもに、小児科の医師や看護師が体質や今後の方針について説明する場合があります。しかし、これまでは家族や医師、看護師が「本人へそのまま伝えたら傷つくのでは」と考え、性分化疾患について意図的に部分的な説明のみに留まる場面がありました。家族の方針で幼いうちに本人の承諾なく手術をするケースも見られます。こうした対処ばかりでは、患者のアイデンティティーを混乱させたり、家族との関係を悪化させたりしかねません。
また、性分化疾患の患者は、第二次性徴がなかなか来ない、同級生と比べて体つきが違う、などの状況を疑問に感じている場合があります。こうした疑問を解消するためにも、体質について適切に伝え継続的な心理社会的なサポートが求められています。
患者を尊重した伝え方
性分化疾患を伝える際は、患者の意思を尊重することが大切です。そもそも本人が知りたがっているか、どこまで知りたいと思っているかを確認して説明すると、正しく伝わりやすいことがわかってきました。さらに説明後に看護師との二者面談を実施し、患者が体質をどう受け止めているのか確認することで、疑問への対処や受け止めの促進につながります。
また海外の研究によって、性分化疾患には医師や看護師などさまざまな医療職が連携して患者や家族をサポートするチーム医療が有効だとわかっています。ただし性分化疾患の専門知識を持っている看護師はそれほど多くはいません。専門病院の数は少なく、思春期の第二次性徴への問題は婦人科のクリニックを受診する患者も多くいます。専門病院以外でも適切な対応をするには看護のガイドラインが必要です。性分化疾患などを持つ思春期の患者を対象にした看護のガイドラインはまだないため、作成をめざした研究が行われています。
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先生情報 / 大学情報
帝京大学 医療技術学部 看護学科 准教授 石見 和世 先生
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