映画やドラマから見える、「言葉」による表現を大切にするアメリカ
周りへのアピールも大切にする恋愛観
アメリカの恋愛映画やドラマでは、日本人だと恥ずかしくなるほど、公然と愛情表現をするシーンが登場します。これはフラート(いちゃつき)という西欧文化の伝統に根ざす一方、アメリカ人の恋愛観では恋人関係を築くことを、周りの人にも知ってもらうことが重視されるという面もあります。このようにアメリカでは、「アピールすること」がよしとされ、それが「言葉」によるコミュニケーションの重要さにもつながっています。
弾丸のようなセリフのドラマが人気
1999年から2006年まで、『ザ・ホワイトハウス』(原題「The West Wing」)というドラマがアメリカで放送されました。大統領と側近を描いた政治ドラマで、大変な人気を博しました。このドラマは、弾丸のような言葉のやり取りで物語が展開していきます。ある人物が、一度に3人からの別々の話題で話しかけられ対応していくという、めまぐるしいシーンもありました。このような手法は日本では見られないものです。このドラマが広く受け入れられている現状から、日本人とアメリカ人で「言葉を使うこと」に対する受け止め方が違うことがわかります。
言葉に対する意識が高く、言語能力を重視する社会
また、ディズニー映画を注意深く見ると、重要な言葉が映画の中で繰り返し使われています。例えば『アナと雪の女王』では「Don’t let them in……」というフレーズが、別々の登場人物の口から違うシーンで二度、挿入歌の歌詞としても一度出てきます。これは言葉によるメッセージの伝達を意識した反復のレトリックからきています。
「言葉が人や社会を動かす」という認識が根付き、演説やプレゼンテーションがうまい人が高く評価されるアメリカでは、一般の人も言語的なテクニックには関心を持っています。政治家などの演説用の原稿を書く「スピーチライター」が、文化系学生の最も憧れる職業になっているほどです。英語表現を理解しようとするとき、こうした言葉に対する意識の違いも重要になってくるのです。
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先生情報 / 大学情報
椙山女学園大学 外国語学部 英語英米学科 ※2024年4月開設 教授 水島 和則 先生
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