誰にも「住み良く」「快適で」「安全・安心な」まちづくりのために
質の高い生活を実現するには?
まちづくりは、生活と深く関わっています。欧米では1970年代から「住み良いまち」という意味の「リバブル・シティ (Livable City)」という都市のあり方が提唱されてきました。リバブル・シティの考え方では、治安、教育、文化、経済、インフラなど、さまざまな要素から、人々が満足する「生活の質(Quality of Life)」が実現できているかを考えます。
どんな「ライフスタイル」を求めるか
日本の地方都市は、車が交通手段の中心となっている地域が多く、車がないと買い物や通勤など日常生活に支障をきたすことも少なくありません。とはいえ海外と比較すると、日本は大都市か地方かにかかわらず、とても便利な国です。24時間開いているコンビニやファミリーレストランがあります。
一方、フランスなどでは、多くの店は日曜に営業していません。労働者の与える休日は、観光地などを除いて、原則日曜日と法律で定められているためです。また夜間の営業にも厳しく、日本に比べ閉店時間はとても早いです。法律を改正して休日にも営業できるようにしても、お客さんがほとんど来なかったというのはとても興味深い話です。このように便利さに振り回されないライフスタイルが、フランスの多くの人に浸透しています。確かに24時間営業の店は便利ですが、そこでは週末や夜中にも働く人が必要です。便利さの裏側で、働き方、暮らし方にひずみがないか考えていく必要があります。
課題を世界の人々とともに考える
他方でまちづくりを考えるとき、グローバルな視点も大切です。高度成長期に日本で起こった公害や大都市への人口集中などの問題は、現在アジアなどのほかの国々でも起こっています。日本のそうした問題への対策の経験が、ほかの国の同様の問題の解決に貢献することも可能なはずです。とりわけ地球温暖化や地域の持続可能な発展に、個々の地域でのまちづくりの取り組みは貢献できます。そのためにも、世界規模で知恵を出し合い、協力することが望まれているのです。
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先生情報 / 大学情報
鳥取大学 地域学部 地域学科 地域創造コース 教授 山下 博樹 先生
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