社会の質を高める縁の下の力持ち! 品質管理の考え方
モノ・コトづくりに欠かせない品質管理
世の中にはいろいろなモノがあり、その品質を高めるために品質管理技術が発展してきました。現代社会では、ソフトウエア製品やサービスも社会を支える重要な基盤です。その中でもソフトウエアは、自動運転システムや医療用制御システムはもちろん、身近な洗濯機や電子レンジにも搭載されるようになりました。これらの品質が悪ければ、日常生活に支障をきたすばかりではなく、財産の損失や生命の危害にまで及ぶ可能性があります。そのため、有形・無形を問わず、モノ・コトづくりにおいて品質管理は非常に重要な役割を担っています。
データから品質の良し悪しを探る
ソフトウエア製品やサービスの品質を評価するには、データが鍵です。例えば、医療では医療事故のデータ、飲食サービスでは料理の提供時間データを分析するなどが考えられます。ソフトウエア製品の場合は、いつどんなバグを何個発見したかというデータを取ることができます。バグ発見数データから確率・統計に基づく数理モデル、すなわちバグの発見数を時間の関数で表現することで、ある時点でソフトウエア内に何個バグが残っているかの見当がつけられます。すなわち、ソフトウエアの故障のしやすさの観点から、ソフトウエア製品の良し悪しを定量的に判断するための「ものさし」ができます。より良い「ものさし」を作るために、数理モデルの高精度化に関する研究も行われています。
社会デザインへの応用も
バグのデータからわかるのは品質だけではありません。ソフトウエア開発管理にも活用できます。例えば、バグの発見時刻と修正完了時刻を可視化して、修正作業の忙しさをシミュレーションすることで人員配置に役立てるという研究が行われています。この研究は、人口減少が進む地域のソフトウエア産業や製造業において、人員配置の効率化にも役立ちます。
このように、データ分析をベースとした品質管理の研究は、社会の安全・安心を支えるだけでなく、これからの社会のデザインにも役立つものだと言えます。
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先生情報 / 大学情報
鳥取大学 工学部 社会システム土木系学科 准教授 南野 友香 先生
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