キノコの未知なる能力を探れ!
フルーティーな香りを放つキノコ
野菜売り場で見かけるキノコですが、実は酵母やカビと同じ菌類です。利用価値は食用くらいだと思う人も多いでしょう。しかし、キノコにはさまざまな隠れた能力が発見されています。
例えば、マツタケやシイタケをはじめキノコには“キノコらしい”ニオイがありますが、中には花や果物、お菓子のような甘い香りを放つものもあるのです。なぜキノコがこのような香りを出すのか詳細は解明されていませんが、植物と同様にニオイで虫や動物を誘引し、胞子を運んでもらうためだと考えられています。
生ゴミからでもエタノール燃料を作るキノコ
一部のキノコには「発酵」の力があることも明らかになっています。発酵といえば、酵母を使ったアルコール発酵が広く知られています。しかしキノコは、酵母が原料として利用できない糖類をアルコール発酵させ、エタノールに変換できるのです。この能力を活用すれば、生ゴミからも効率よくエタノールを生成できることがわかっています。しかも、この能力を持つのは特別なキノコではなく、街の公園にも生えているありふれたキノコです。身近にあふれる生ゴミとキノコからエタノールを生成するのは、環境にも優しい安心・安全な技術です。生ゴミを燃料に車が走る、そんな技術の実現もそう遠くないかもしれません。
牛乳を発酵させ機能性物質を生み出すキノコ
キノコの発酵能を研究する過程で、牛乳を原料とした試験も行われました。すると、その発酵乳には血圧上昇を抑える物質が含まれていることが見つかりました。この発見をもとに、人の健康維持に有効な機能性物質の開発が進められています。この物質の生成には、消費期限を過ぎた牛乳も使用できます。不要なものから、人に役立つ価値の高いものを生み出すことができるのです。このようにキノコが持つ可能性の探索・活用は、今後もますます進んでいくと期待されています。
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鳥取大学 工学部 化学バイオ系学科 教授 岡本 賢治 先生
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