日本の伝統文化、「民謡」を伝える大切さ
生活の中から生まれた「民謡」
日本の各地に「民謡」があります。あなたも、自分の住む地域の民謡を耳にしたことがあるでしょう。民謡は奈良時代頃にはすでに存在していたことが確認されています。民謡は昔の日本人の生活と密接に関係していて、労働、お祭り、娯楽、宗教行事の時などに歌われていました。子守り歌も民謡の一つです。このように、人々の生活の中から自然に生まれたものなので、誰が作詞、作曲したのかわからず、口伝えで受け継がれてきたものが多いのが特徴です。
リズムによって分類できる
日本の民謡は、日本独自の音階によって作られています。現代の私たちが親しんでいる西洋音楽の音階とは大きく違います。また、リズムも独特です。日本の民謡は、「八木節様式」と「追分様式」に分類されます。八木節様式は、群馬県・栃木県などに伝わる『八木節』に代表されるもので、等間隔でリズムを打つ民謡です。手拍子に合わせて歌える、規則的な拍節がある歌です。追分様式は、『江差追分』のように、拍節がほとんどなく、声を長く伸ばして歌います。
口承で伝わってきた民謡ですが、大正時代にはレコードに記録され世の中に広まりました。また、昔からあった民謡がアレンジされ、「新民謡」として発売され流行歌として有名になったり、ピアノ伴奏を加え、西洋音楽とのコラボレーションも行われたりしています。
消えていく民謡を伝えるために
民謡は、地域や家庭で伝承していくことが必要ですが、地元のつながりが希薄で、核家族の多い現代においては、昔のようにスムーズに受け継ぐことができなくなっています。このままでは、民謡はどんどん消えていってしまうでしょう。その危機感もあり、民謡は学校の音楽の教材として取り入れられ、一定の効果を上げています。
子どもたちが興味を持ちやすいポピュラー音楽などを教材とすることも意味がありますが、昔から伝えられてきた日本の民謡を学校教育の中で学ぶことはとても重要なことです。音楽教育が果たす役割ともいえるでしょう。
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鳥取大学 地域学部 地域学科 人間形成コース 教授 鈴木 慎一朗 先生
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