研究者と教師の協同「アクションリサーチ」で学校改革を
教育現場と研究者の関係
日本では1970年代から「教育の科学化」が提唱され、大学の研究者と教育現場の関わりが増えていきました。しかし、現場から離れた研究室でつくられた知識を実践に適用する様式では、効果はいまひとつ上がりませんでした。その反省を踏まえ1990年代から導入された方法が「アクションリサーチ」です。
アクションリサーチは、教師と研究者の協同で、実践の現場をベースに行われます。教師による授業研究会に研究者も参加し、授業内容、学校のシステム、教師が持つべき視点などを、ともに分析し改善していくものです。これは教育現場で教師の仕事が増加し、学校改革について考える余裕がなくなってきていることも影響しています。
全員が「わかった」授業は危険?
例えば授業で教師が生徒に対して「わかりましたか」と尋ねたとしましょう。全員が「わかった」と答えた場合、研究者たちはそこに改善の余地があると考えます。そう聞かれたら「わかった」としか言いようがありません。生徒自身が授業の理解度を自覚して気軽に質問できる環境や関係を作ることが、一人一人の学びをつくる鍵となります。
アクションリサーチでは研究者と教師が対等な関係になることが理想ですが、実際は研究者の提案に学校側が忠実に従ってしまいがちです。まずはお互いに信頼関係を構築し、研究者が提案した理論や方法をもとに、現場の状況に合うよう教師たちが改良を加えながら実践することが求められます。
ネットワークを広げ学校改革を
学校改革のためには、教員や研究者のネットワークを広げて新たな視点や知識を取り入れることも必要です。全国規模の大きなつながりをすぐに作ることは困難ですが、地域ごとのネットワークはすでに存在しています。そこで小規模なネットワークをつなげて大きくしていく「ネットワークオブネットワークス」が実践され始めました。まずは地域から。そして、地域と地域がつながる。いずれ世界規模の大きなネットワークが実現すれば、学校改革もさらに進むはずです。
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山形大学 教職大学院 教育実践研究科 准教授 森田 智幸 先生
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