脳は「におい」や「香り」にだまされる!

脳は「におい」や「香り」にだまされる!

人の印象を決める「におい」

男子大学生がかいた汗とおじさんがかいた汗、「におい」がきついのはどちらだと思いますか? 男子大学生の汗の方がさわやかなイメージがありますが、女子高校生に目隠しをして、どちらのにおいがきついと感じるかを実験したところ、「おじさんの汗の方がまし!」という結果が出たのです。
年齢にかかわらず、においや香りは人の印象を決める大きな要素です。約800人に調査したところ、人を好きになるきっかけは、断然「見た目」が多いのですが、約9割の人が嫌いになるきっかけは「におい」と答えています。ですから、やはり汗をかいたら、できるだけ取り除いておいた方がいいかもしれません。

甘いもの好きな女性はやさしい?

女性が履歴書に趣味は「スイーツ巡り」とか「甘いものが好き」と書くと、「やさしそうな人だ」と見られる可能性があり、採用されやすくなるという調査結果があります。糖質というのは、生きるエネルギーであり、人は甘いものを食べると脳から脳内麻薬といわれる物質が分泌されます。それにより、注射をするときやけがをしたときに、甘いものを口の中に入れたり、バニラやカスタードのような甘い香りを嗅いだりすると、痛みに耐えやすくなると言われています。
つまり脳は、甘い香りの人をいい印象でとらえたり、甘い香りを嗅いだときと同じように反応してしまうわけです。ただ、香りと見た目のイメージが一致していることも大切なので、男性が甘い香りをつけるとマイナスイメージを持たれることもあります。

脳科学や応用心理学は製品開発にも生かされている

例えば、最近の柔軟剤にはさまざまな香りがありますが、まったく同じタオルでも、「おひさまの香り」だとより弾力があるように感じ、「せっけんの香り」だとより白いと感じる傾向があるのです。これは人間の脳が、においや香りにだまされやすいということを利用して、効果を演出しているのです。このように脳科学や応用心理学の研究は、製品開発にも生かされています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

東北大学 文学部 人文社会学科 教授 坂井 信之 先生

東北大学 文学部 人文社会学科 教授 坂井 信之 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

応用心理学

メッセージ

文系だから物理や化学などの理系の勉強はしない、理系だから社会はやらない、ということではなく、積極的に幅広い勉強をしてほしいと思います。私は応用心理学を研究していますが、出身は神経科学という理系分野で、大学ではねずみの研究をしていました。
心理学は、人間の心を物理や化学の知識も使いながら探っていく文理融合型の学問で、日本では心理学というと文系のイメージですが、アメリカなどでは理系分野とされています。また、勉強ばかりでなく、若いうちにいろいろなことにチャレンジして、さまざまな経験をしてください。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?

東北大学に関心を持ったあなたは

建学以来の伝統である「研究第一」と「門戸開放」の理念を掲げ、世界最高水準の研究・教育を創造しています。また、研究の成果を社会が直面する諸問題の解決に役立て、指導的人材を育成することによって、平和で公正な人類社会の実現に貢献して行きます。社会から知の拠点として人類社会への貢献を委託されている東北大学の教職員、学生、同窓生が一丸となって、「Challenge」、「Creation」、「Innovation」を合言葉として、価値ある研究・教育を創造して、世界の人々の期待に応えていきたいと考えます。