「目は心の窓」の不思議を、心理学で解き明かす

「目は心の窓」の不思議を、心理学で解き明かす

誰かと3秒以上目が合ったら?

「目は心の窓」と言われますが、目の動きを分析するとその人の感情、行動心理、性格などがわかります。ある調査では、日本人は誰かと3秒以上目が合うと、「相手が自分に対して好意や敵意など何らかの感情を持っている」と感じることがわかりました。敵意がある人は、相手を「自分を脅かす存在」として認識し、自分の身を守ろうとして相手を長く見つめる傾向があります。また、緊張しやすい性格の人なら、視線を外す気まずさから相手をずっと見続けてしまい、違和感を持たれることもあります。このように、「目を合わせる時間」から、さまざまな人の心が読み解けるのです。

目の動きからうそを見破る

犯罪捜査では、犯人が事件に関与しているかを判断するために「ポリグラフ検査」を用いることがあります。この検査では、容疑者に事件に関する質問を行い、呼吸や心拍の乱れ、発汗などの生理反応を計測します。こうした生理反応は自分で制御できません。
一方で、目の動きは自分の意思でコントロールできます。事件に関連する画像から目を逸らして別の画像を長く見続ける反応があれば、その目の動きから「事実を隠ぺいする意図」が感じられ、うそをついている可能性が高いと判断できます。このように検査の指標に目の動きも取り入れると、検査結果の信頼性が高まる可能性があります。

視線で変わる第一印象

目の動きと心の関係をひも解く研究は、精神疾患の診断などの医療福祉の現場から、ビジネスの販売マーケティングまで幅広い分野に活用されています。身近なところでは、対人コミュニケーションのスキルアップにも役立ちます。面接などの場面で視線の方向やアイコンタクトの回数を意識すると、「こういう人に見られたい」と自分がイメージする第一印象を相手に与えることができます。目の動きと心の関係を知ることは、人の心や行動を理解して、コミュニケーションを円滑にするための手掛かりにもなるのです。

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先生情報 / 大学情報

宇部フロンティア大学 心理学部 心理学科 准教授 小野 洋平 先生

宇部フロンティア大学心理学部 心理学科 准教授小野 洋平 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

認知心理学、学習心理、犯罪心理学

メッセージ

あらゆる学問が学ぶ人を幸せにすると考えています。学びを自分の人生や生活にどう反映させるかという視点を持つことが大切です。心理学では人の心と行動を理解・予測・制御することについて探究します。まずは、授業中に先生と目が何回合ったか、教室で友達がどの席に座るかなど、身近な人の行動を観察し、「なぜ?」と疑問を持ってみましょう。心理学を研究することは、家族や友人、自らの人生を豊かにすると実感しています。仲間としてともに学び、心理学で幸せな人生を送りましょう。

先生への質問

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宇部フロンティア大学は明治36年創立の伝統を誇る学校法人香川学園が母体で現在、幼稚園、中学校、高等学校、短期大学部、大学、大学院、大学院附属臨床心理相談センター、大学附属文京クリニックおよび宇部環境技術センターからなり、山口県の教育・研究の一大拠点として地域への人材供給を含む地域貢献に取り組んでいます。大学では、学園の創始者(香川昌子)の教育精神である「人間性の涵養と実学重視」を建学の精神とし、「あなたらしさを仕事力に」というキャッチコピーを掲げて、一人ひとりの個性を重視した教育を行っています。