あなたの知らない「香り」の世界をのぞいてみませんか?
「おいしさ」と「香り」の不思議な関係
食べ物のおいしさの評価は「味」のほかに「見た目」や「香り」によっても大きく変わります。なかでも香りは、食べ物の印象を左右する大事な要素です。例えば、鼻がつまっている時にものを食べても、味がよくわからないことはありませんか? また、砂糖水にパイナップルの合成香料を加えて飲むと、果汁は入っていないはずなのに「これはパイナップルジュースだ」と感じます。このように、私たちは食べ物を認識したり、おいしいと感じる時に香りが重要な役割を果たしているのです。
香りは化学? 分析でわかるその正体
食品香粧学は香りを総合的に研究し、食品や化粧品などに生かすための学問のひとつです。自然界に存在する200万種類以上の有機化合物のうち約40万種類に香りがあり、人間はその中の約1万種類をかぎわけることができると言われています。香りの正体はごくごく小さな分子です。昔は動植物から採取した天然香料が使われていましたが、香りの成分を化学分析することによって、今では同じ香りを合成できるようになりました。それが合成香料です。香りの研究には化学の知識と技術が不可欠です。さらに動植物学や、人間が香りを感じる脳のメカニズムなど、幅広い分野の知識も必要です。
「フレーバー」と「フレグランス」で健康サポート
食品に使う香料を「フレーバー」、それ以外に使う香料を「フレグランス」と呼びます。味を左右するのはフレーバーで、フレグランスは、香水や化粧品、シャンプーや洗剤などに使われます。香りの中には、気持ちをリフレッシュさせたり沈静化させたりする作用を持つものもあり、ストレス解消に香りがとても有効だとされています。
また香りの特性を生かし、消臭剤や芳香剤、変わったところではLPガスに臭いをつけてガス漏れがすぐわかるようにするなど、香りの用途は広がってきています。香りを使って体の内と外から食と健康をサポートしていくことが、食品香粧学研究の今後の大きなテーマなのです。
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先生情報 / 大学情報
東京農業大学 生物産業学部 食香粧化学科 教授 佐藤 広顕 先生
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