大きな仕事をする小さな“ものづくり”
ナノメートルってどのくらい?
ナノは10億分の1という意味で、1mの10億分の1、もう少し細かく言うと、1mmの1000分の1が1マイクロメートル(μm)、1μmの1000分の1を1ナノメートル(1nm)といいます。この肉眼では見ることのできない、きわめて微細な領域で行われる“ものづくり”の技術がナノテクノロジーです。ナノテクノロジーによって作られた半導体や回路などの超最先端の部品をナノデバイスと呼びます。
50年で激変した生活と産業
現代のデジタル情報機器やネットワーク機器には、多くの半導体デバイスが使用されています。パソコンのメモリやマイクロプロセッサ(CPU)のような電子デバイス、光を信号に換えるデジタルカメラのCCDなどがそうです。半導体デバイスは、1948年にアメリカで発明されたトランジスタに始まり、IC(集積回路)、LSI(大規模集積回路)、LSIをさらに発展させたULSIと進化してきました。加工技術・プロセスの研究成果により、半導体デバイスは、プラズマを加工手段としてナノのレベルまで微細化され、高速化・高感度化・大容量化されるようになりました。デバイスを小さくすることで産業を大きくし、機能を発展させてきたのです。
スーパーコンピュータが手のひらに収まる日
約半世紀の間に驚異の微細化を続けてきたトランジスタの原理にも、やがては物理的な限界が訪れます。最近では、量子効果デバイスや生体のDNAを使ったバイオデバイスなど、新しい原理のデバイスの研究が盛んに行われています。また、それを加工する技術の開発も進んでいます。高性能で消費電力が低い、今よりももっと小さなデバイスをつくるためです。消費電力を抑えれば、CO₂の削減につながります。ハイブリッド化が進む自動車産業にも、環境にやさしいエレクトロニクスデバイスが影響を与えます。近い将来、自動車のエンジンは必要なくなるかもしれません。また、スーパーコンピュータが手のひらサイズになる日がそこまで近づいているのです。
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