なぜ太平洋戦争が起こり、どのようにして終戦を迎えたのか?

なぜ太平洋戦争が起こり、どのようにして終戦を迎えたのか?

勝つ自信がないのに戦争を始めた日本

1941年、日本軍がハワイ真珠湾の米軍の施設を襲撃し、太平洋戦争が始まりました。当時の日本は敵対するアメリカから石油の8割を輸入していて、備蓄量が2年分もなかったため、「勝つ見込みはないが、戦争を始めるなら今しかない」と判断したのです。
このとき、内閣総理大臣に就任したのが陸軍大臣の東条英機です。しかし実は、東条英機は、戦術に長けた軍人というより文書を扱うのが得意な官僚で、行きがかり上、総理になった人でした。

戦争を終わらせたのは本当に原爆?

太平洋戦争で戦局が悪くなると、陸軍と対立していた海軍が「東条降ろし」をして、1944年に内閣が倒れます。歴史では1945年8月に広島・長崎に原爆が投下されて終戦を迎え、日本は新しい国家に生まれ変わったとされています。原爆投下については、米軍でも反対する声がありましたが、日本の本土決戦で自国の兵士の命が奪われるのを避けるため、そして、ライバルのソ連(現・ロシア)に軍事力を見せつけるために、実行されたと言われています。
しかし、終戦のきっかけは、原爆投下だけではありません。当時、日本はソ連をパイプ役にして、戦争を話し合いで終わらせようとしていました。しかし、1945年7月にソ連が参戦して敵側にまわってしまったため、手立てがなくなってポツダム宣言を受諾したのです。

日本の戦前・戦後はつながっている

戦後、国際裁判で、昭和天皇に戦争責任が及ぶのを避けるために、日本の保守層は「昭和天皇は何も知らなかった」「東条は日本のヒトラーで、陸軍は日本のナチスだ」という印象を与えました。連合国側は「事実ではない」と察していましたが、日本の体制が崩れて共産化するのを恐れて黙認したのです。昭和天皇が在位し続けたことは日本の戦前・戦後が連続している象徴で、戦後の日本は「論理」によってつくられた国家とも言えるのです。

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先生情報 / 大学情報

愛知学院大学 文学部 歴史学科 教授 後藤 致人 先生

愛知学院大学 文学部 歴史学科 教授 後藤 致人 先生

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日本近現代史、歴史学

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メッセージ

大学時代は、精神的に大きく成長できる時期です。就職に有利というだけで学部を選ぶのではなく、どの学部に入っても、主体的に、ぜひあなたがやりたいことに取り組んでください。引き出しを多く持ち、挫折や成功した体験を自分の言葉で語れることが、社会人になるときにもきっと生きてくると思います。
「歴史学」は点ではなく線としてものを考える学問なので、学ぶことで、それまでとは歴史の見え方が変わり、現在の立ち位置もわかるようになります。次の世代を育てる教員や学芸員をめざす人にとっても、とても有意義な分野だと思います。

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愛知学院大学は、建学以来、時代の要請に応えながら社会に貢献できる人材を育成してきました。130年を超える歴史を通じて受け継がれてきたのは、人間性を重視する仏教精神です。禅の教えをもとに「行学一体」の人格形成に努め、「報恩感謝」の生活のできる社会人を育成することを建学の精神としています。9学部16学科+短期大学部で構成された中部地区有数の規模と伝統を誇る総合大学。日進・楠元・末盛と2014年4月に名古屋都心部に開設した名城公園の4つのキャンパスで12,000人の学生が学修・研究に励んでいます。