人口減少に歯止めを! 地方創生、地域振興のカギは女子?
国の政策「地方創生」
地方の多くの自治体では、死亡数から出生数を引いた「自然減」と、転入と転出の差がマイナスの状態である「社会減」のダブルパンチにより人口が減っています。少子化と人口流出が進むと税収が減り、自治体の経営も立ち行かなくなります。地方の人口減少に歯止めをかけ、東京一極集中を是正しようと始まった国の政策が「地方創生」です。将来の人口ビジョンを立てて、どのくらいの人口を維持できるかの具体的な数字で明確にした上で、計画を策定するよう、2014年に国が全国の市町村に呼び掛けました。2019年度で第1期が終了したのですが、4つの目標の2つ目の柱である「地方への新しいひとの流れをつくる」については達成できませんでした。
地方創生に対する地域の温度差
地方には、共同体の機能の維持が限界に近づいた限界集落を抱え、人口減少が深刻化している自治体がある一方、大都市近郊のベッドタウンのように人口が増えて、財政的に潤っている自治体も存在します。ベッドタウンのようなかたちで発展している町からすると、人口も減っておらず、たとえ国からさまざまな援助があるといっても、名産品や観光名所を作る必要性もあまりありません。このように地方創生に取り組む姿勢には、自治体間で温度差があるようです。
カギを握る女子の就職先
地方自治体の人口減少問題のカギを握るのは女子高生です。これから20年間で、多くの自治体において、20~39歳の女性が急速に減少し、それにつれて出生数が減り、人口が一気に減少して自治体の機能を維持することが困難となることがわかっています。大学は都会に集中しているので、進学を希望する女子高生は故郷を離れることになりますが、地元に働きたい場所がなければ、卒業しても戻ってきません。女性のやりたい仕事や就職先を地元に増やして、定着してもらい、子どもを産み、育ててほしい、そのためによい環境を作らなくてはならないという考えが地方創生の根本にあるのです。
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愛知学院大学 総合政策学部 総合政策学科 教授 中村 悦大 先生
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