講義No.11213 政治学

人口減少に歯止めを! 地方創生、地域振興のカギは女子?

人口減少に歯止めを! 地方創生、地域振興のカギは女子?

国の政策「地方創生」

地方の多くの自治体では、死亡数から出生数を引いた「自然減」と、転入と転出の差がマイナスの状態である「社会減」のダブルパンチにより人口が減っています。少子化と人口流出が進むと税収が減り、自治体の経営も立ち行かなくなります。地方の人口減少に歯止めをかけ、東京一極集中を是正しようと始まった国の政策が「地方創生」です。将来の人口ビジョンを立てて、どのくらいの人口を維持できるかの具体的な数字で明確にした上で、計画を策定するよう、2014年に国が全国の市町村に呼び掛けました。2019年度で第1期が終了したのですが、4つの目標の2つ目の柱である「地方への新しいひとの流れをつくる」については達成できませんでした。

地方創生に対する地域の温度差

地方には、共同体の機能の維持が限界に近づいた限界集落を抱え、人口減少が深刻化している自治体がある一方、大都市近郊のベッドタウンのように人口が増えて、財政的に潤っている自治体も存在します。ベッドタウンのようなかたちで発展している町からすると、人口も減っておらず、たとえ国からさまざまな援助があるといっても、名産品や観光名所を作る必要性もあまりありません。このように地方創生に取り組む姿勢には、自治体間で温度差があるようです。

カギを握る女子の就職先

地方自治体の人口減少問題のカギを握るのは女子高生です。これから20年間で、多くの自治体において、20~39歳の女性が急速に減少し、それにつれて出生数が減り、人口が一気に減少して自治体の機能を維持することが困難となることがわかっています。大学は都会に集中しているので、進学を希望する女子高生は故郷を離れることになりますが、地元に働きたい場所がなければ、卒業しても戻ってきません。女性のやりたい仕事や就職先を地元に増やして、定着してもらい、子どもを産み、育ててほしい、そのためによい環境を作らなくてはならないという考えが地方創生の根本にあるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

愛知学院大学 総合政策学部 総合政策学科 教授 中村 悦大 先生

愛知学院大学 総合政策学部 総合政策学科 教授 中村 悦大 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

行政学、総合政策学

先生が目指すSDGs

メッセージ

「行政学」は組織管理や計画の立案について研究する学問です。国の組織や計画だけでなく、都道府県・市区町村についても研究しています。地域の課題に取り組みたいと考えているなら、行政学はお勧めです。
まずは、自分が住んでいる地域を知ることから始めてみましょう。ほぼ全ての市町村に、人口減少に特化した「総合戦略」と、全体計画の「総合計画」が存在しますが、知らない人も多く、あまり読まれていないのが実情です。自分の住む自治体の「総合戦略」や「総合計画」に目を通して、地域の現状や将来を考えてみてください。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

愛知学院大学に関心を持ったあなたは

愛知学院大学は、建学以来、時代の要請に応えながら社会に貢献できる人材を育成してきました。130年を超える歴史を通じて受け継がれてきたのは、人間性を重視する仏教精神です。禅の教えをもとに「行学一体」の人格形成に努め、「報恩感謝」の生活のできる社会人を育成することを建学の精神としています。9学部16学科+短期大学部で構成された中部地区有数の規模と伝統を誇る総合大学。日進・楠元・末盛と2014年4月に名古屋都心部に開設した名城公園の4つのキャンパスで12,000人の学生が学修・研究に励んでいます。