犯罪はなぜ引き起こされたのか、「犯罪心理学」が解き明かす
罪を犯す人の心の中はどうなっているのだろう
人の心がわからないと悩んだことはありませんか? 人の心の動きにとまどったり、自分がどうしたらいいのかわからなくて悩むことは生きていく上で誰もが経験することです。
世の中で最もわかりにくい、何を考えているかわからない、と思われるのは「犯罪者」と言われる人たちでしょう。事件の報道に接したり、自転車が盗まれるなど身近なところで被害を受けた人は、恐怖や不安を感じながら、犯人はどうしてそんなことをしたのだろう、と考えます。
加害者の多くは、実は被害者だった人が多い
「犯罪心理学」という学問は、まず犯罪者や非行少年を理解し、改善の方法を考えます。犯罪や非行は平穏に暮らす人たちを困らせ、悲しませる行為です。しかし実はその加害者も、それまでの人生で苦しみ、傷ついてきた人が多い、という事実があります。
普段おとなしかった少年が罪を犯すと、「心の闇」という言葉がよく使われます。一般の人は不可解に感じて距離を置くのですが、犯罪心理学は立ち向かい、少年の心の闇を解き明かそうとします。なぜ事件を起こしたのか、という謎解きに挑むのです。その上で、もう二度と罪を犯さないように改心し、新たな人生を歩むことができるように支援します。
真の反省が、その後の行動を変える
非行少年に対して、周囲は性急に反省を求めます。しかし反省とは、「反省しました」という言葉を引き出せばよいことではありません。被害者の苦しみを心の中に取り込んで抱え込み、自分の行為がその痛みを与えたのだと真摯に受け止めてこそ生まれてくる感情です。そのプロセスを経て得られる体験こそが、加害者のその後の行動を変える真の反省と言えるのです。
犯罪心理学は、つらい体験によってゆがんだ自己像を持っていたり、強い劣等感や被害者意識にさいなまれていたりという、加害者が抱える問題を、面接や心理テストなどさまざまな技法を使い、その心に寄り添いながら、根気よく理解していく方法を学ぶ学問なのです。
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東北福祉大学 総合福祉学部 福祉心理学科 准教授 半澤 利一 先生
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