高齢者に対する差別と偏見、どうやって解消する?
ダントツで高齢化が進む日本
2022年1月時点での日本の総人口は約1億2530万人ですが、そのうち65歳以上の高齢者の人口は約3620万人と、総人口の29パーセントにまで達しています。一般的に、高齢化率が21パーセントを超えると超高齢社会とみなされますが、日本はその基準をさらに突き抜け、世界でもダントツで高齢化が進んでいる国になっています。
日本国内でも、高齢化率には地域によって差があり、市町村のレベルでは、60パーセントに達しているところもあります。
エイジズムと認知症へのスティグマ
このような社会において、私たちが気をつけなければならないのは、高齢者に対する差別や偏見の問題です。これらは、必ずしも目に見える形で存在しているとは限りません。例えば職場において、「高齢者は新しい仕事を学ぶことができない」「若い人を雇った方がいい」といった見方をしてしまう人がいることは、高齢者へのエイジズム(年齢による偏見や差別)の表れです。「老い」についての理解が不足していると、無意識のうちに差別をしてしまう場合があるのです。
また、高齢者の約6人に1人が発症する可能性がある認知症についての無理解や偏見も、解決すべき重要な課題です。自身や家族が認知症になった時、認知症に対するスティグマ(差別や偏見)の意識があると、周囲に知られたくないという意識が働き、社会から認知症をもつ人に対して必要な支援ができなくなってしまう可能性があります。
「学び」と「関わり」の場の必要性
高齢者に対する差別や偏見をなくしていくには、これまでの人生の話をじっくり伺うなど、実際に高齢者の方々と接する機会を設ける方法が考えられます。認知症の方と一緒に何か作業をしながら、話したいことを話してもらうという共体験をする方法もあるでしょう。老いや認知症についての「学び」と、高齢者や認知症をもつ人との「関わり」をもてる場を社会の側が積極的に提供していくことが、今後ますます必要になってくると考えられています。
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東北福祉大学 総合福祉学部 社会福祉学科 准教授 石附 敬 先生
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