おにぎりケースやカプセルトイで、障害のある子を支援する?!
言葉が話せないなら、便利なツールを使おう!
もし、あなたが言葉を話せない外国に行くとしても、現代には翻訳機という便利な装置があります。同じように障害があって話せない子どもにも翻訳機のようなツールが必要です。例えばボタンを押すと吹き込んだメッセージが流れる装置です。ただし、1人1人の体や障害に合わせて使いやすくするカスタマイズが必要です。材料はなるべく身近な物を使います。手の小さな子には、おにぎりケースを装置のケースにすれば持ちやすいですし、ボタンが押せない子にはカプセルトイをケースにして、傾けるとセンサでメッセージが流れるようにすることもできます。障害の重い子でもコミュニケ-ションの際に、メッセージをわかりやすく拡大し、代替してあげることが大切なのです。
学習障害の子を助けるペンと定規
線や文字を書くのに時間がかかる学習障害の子には、文具の工夫で効果が出ています。線を引き始める位置に区切りがついた弱視用の定規を使うと、うまく線が引けるようになりました。また、小学校は鉛筆しか使えない規則ですが、特別に芯も軸も太いシャープペンシルや、握りやすい三角軸のペンを使ったところ、いつもより早く書くことができたのです。最近は学習障害のあるなしにかかわらず、多くの子どもたちが鉛筆を正しく持てていないので、学習障害のない子どもたちも早く書けるようになり、字の書き間違いも減りました。その子に合ったツールを使うことで、学習意欲を失わせずに、勉強や積極的な行動を促すことができます。
子どもではなく、環境を変える!
これまでは障害のある子に対して、トレーニングして社会参加できるように変えていこうとする教育が主流でした。しかし、これからは子どもを変えるのではなく、学校など受け入れる側の環境を変えて、その子の今ある力でできることを増やしていきながら、社会参加を促すことが求められています。教材・教具を便利に改良・工夫することで、障害のある子とない子が一緒のクラスで学ぶことも可能になるのです。
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先生情報 / 大学情報
東北福祉大学 教育学部 教育学科 准教授 杉浦 徹 先生
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