0歳から育まれることばの世界~言語聴覚士の関わり~

0歳から育まれることばの世界~言語聴覚士の関わり~

「0歳児(赤ちゃん)」のことばとは?

0歳児(赤ちゃん)は、大人のようには話せないから、何を考え、伝えたいのかわからない場合もあります。人がことばを使って話せるようになるためには準備が必要であり、その準備期間を「前言語期」と言います。この準備期間では、様々な発達に加えて「コミュニケーションを楽しむ気持ちが育まれているか」も重要です。大人が赤ちゃんの感情を見て、何を伝えたいかを推測(想像)して、赤ちゃんに関わることで、信頼関係(愛着)が形成されます。そのことが、「コミュニケーションを楽しむ気持ち」につながり、0歳(赤ちゃん)のことばにつながります。

ことば(コミュニケーション)を育むためには?

ことば(コミュニケーション)を育むために重要な能力として、「聴覚」と「視覚」があります。この聴覚と視覚の発達により、保護者の声を聞いたり、表情を見たりして安心できる人なのかを常に確認しています。このことがコミュニケーションの第1歩です。人は一人では生きていけない存在であり、ことばは人と人とが関わる手段としてとても重要なものです。動物も鳴き声で仲間とコミュニケーションを図っていますが、相手を思いやるために様々な表現方法があることばは人にしかない大切な手段です。

ことば(コミュニケーション)の支援と言語聴覚士

発達には個人差があり、ことばの発達は一番個人差が大きいのが特徴です。子どもの発達を確認する機会として、日本では「乳幼児健康診査(乳幼児健診)」というものがあります。この乳幼児健診では、ことばの発達に関する項目が含まれています。そこで、言語聴覚士は、保健師などと協力して、ことばや親子関係などの発達を確認し、家庭での子育てへの不安の軽減に努めています。しかし、言語聴覚士だけの関りでは、コミュニケーションは育まれません。日常生活の大半は、家族や保育士などが関わっているため、家族や保育士などと連携を取り、チームで子どものことば(コミュニケーション)の未来を考える仕事が言語聴覚士の仕事です。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

熊本保健科学大学 保健科学部 リハビリテーション学科 言語聴覚学専攻 講師 松尾 朗 先生

熊本保健科学大学 保健科学部 リハビリテーション学科 言語聴覚学専攻 講師 松尾 朗 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

言語聴覚学、教育学、心理学、社会学

先生が目指すSDGs

メッセージ

人のことば(コミュニケーション)は、年齢や時代によっても変化していくものです。言語聴覚士は、常に今の社会、今の家族に合わせたコミュニケーションの支援を考えていきます。そのため心理学、社会学、教育学などとも関連の深い学問です。私自身も大学では心理学を学び、人にしかない発達である言語に関心を抱いて言語聴覚士になりました。子どもに対して「不思議」や「すてき」を感じるなら、言語聴覚学に興味を持てると思います。支援を通して子どもや保護者の笑顔を見た時には、たとえ言葉は出なくても大きなやりがいを感じます。

先生への質問

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  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

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熊本保健科学大学では、医学検査、看護、リハビリテーションの3つの学科で最先端の専門知識と技術を修得するとともに、学科間の連携によりチームスタッフにふさわしい知性と教養を身に付けます。また、医療の多様化と変化に対応しながら、患者さんのQOL(Quality of Life:生活と人生の質)にも配慮できる優れた医療人を目指します。