「カスタマージャーニー」はマーケティングの鍵!

「カスタマージャーニー」はマーケティングの鍵!

買い物の道筋

商品を購入する際、人は「カスタマージャーニー」というべき一連の道筋を経験します。例えば、スマートフォンを買いたいと思ったら、最初に情報を収集し、価格や性能を比較検討して選択肢を絞り込みます。実際に、商品を購入したら、それらを使用して、最終的な満足度を決めるのです。マーケティングの観点から考えると、対象となる顧客層を正しく理解して、商品に合致したカスタマージャーニーを計画することが大切です。こうした戦略を活用することで、広告コミュニケーションを効果的に展開できます。

商品のブランド・イメージを確立する

カスタマージャーニーを的確に設定した例として、あるスナック菓子が挙げられます。メーカーはターゲット層を20~30代の女性と設定し、「会社帰りに立ち寄るコンビニで、自分が食べるお菓子を買う」というカスタマージャーニーを設計しました。商品のパッケージは、おしゃれを意識した女性の部屋に置いても違和感のないすっきりとしたデザインにして、広告にはファッション誌の人気モデルを起用することで消費者の注目を集めます。このような明確なカスタマージャーニーの設定が、商品のイメージを確立し、大成功を収める結果となりました。

熟考型と直感型

顧客の分類軸は年齢や性別に限られるものではありません。一般的に、熟考型と直感型の2つの意思決定プロセスが存在します。熟考型の消費者は慎重に検討してから購入を決めるのに対し、直感型の消費者は自身の勘に従ってスピーディな決断を行います。両者を比較すると、これまでは熟考型の方が最終的に満足した買い物ができると考えられてきました。しかし、近年は消費者の得る情報が多くなり過ぎたことから、逆に迷いを生むケースが生じています。例えば、オンラインショッピング時に、情報を過剰に収集してしまうことで決断が難しくなり、購入を見送るケースも見られます。カスタマージャーニーの設定においても、このような現象を考慮して、広告コミュニケーション戦略を練ることが重要です。

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横浜国立大学 経営学部 経営学科 准教授 多田 伶 先生

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マーケティング論、消費者行動論

メッセージ

マーケティングは身近な生活に根差した学問です。企業がマーケティング戦略を立案する際には、定性的アプローチの「インタビュー」や「フィールドワーク」だけでなく、定量的アプローチの「実験」、「質問紙調査」、「AIや機械学習による実証分析」が活用されています。文理の枠にとらわれないアプローチができる学問であり、社会人になった後も役立つ領域ですので、興味を持ったなら、ぜひマーケティングの世界を探求してみてください。

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横浜国立大学は、高い国際性と実践的な学問を尊重し、社会に開かれた大学をめざします。全学部の学生がひとつのキャンパスで学び、学部の垣根を越えた交流ができ、国立大学には数少ない経営学部も置かれています。新しい潮流を起こして21世紀の人類社会に貢献できるよう、社会からの要請を的確に把握し、国民から委ねられた資源を有効に活用しつつその活動を開放し、社会の期待に応えます。