医療的ケア児とその家族を、地域で支えよう!

医療的ケア児とその家族を、地域で支えよう!

増える医療的ケア児

早産や低体重、またはなんらかの病気がある新生児は、産まれた直後からNICU(新生児集中治療室)に入院し治療を受けます。退院後も人工呼吸器や胃ろうなどを使用し、たんの吸引や、鼻などから直接栄養を注入する経管栄養などの医療的ケアを必要とする子どものことを、「医療的ケア児」と言います。
新生児医療の技術が向上し、これまでなら救えなかった命を助けられるようになりました。その結果、医療的ケア児は年々増加しています。入院中は医師や看護師が24時間体制で行っていた医療的ケアを、退院後は家族が引き受けることになります。その際、特別な資格はいりませんが、その子が生きていくために欠かせないケアについて、医療従事者から事前に指導を受けることが必要です。

家族のケアも重要

医療的ケア児が家族と一緒に暮らせるようになると、病院での日々に比べて刺激が増えます。いろいろな社会体験も可能になり、生活の質の向上も期待できます。一方で、数時間おきのたんの吸引や栄養剤の注入など、つきっきりでケアを担う家族の負担はとても大きくなります。病気や障がいの有無にかかわらず、地域でいきいきと過ごすには、医療的ケア児はもちろん、その家族に対する支援も重要です。しかしその体制は十分に整っているとは言い難く、家族の生活の質が低下してしまうことが指摘されています。

医療的ケアを行う看護師の確保が課題

地域包括ケアシステムの構築が進み、訪問看護サービスの事業所も増えていますが、医療的ケア児の増加に追いついていないのが実状です。保育施設や教育機関などにおいても、医療的ケアに対応できる看護師や教職員が不足しており、子どもと家族が希望する施設や機関に受け入れてもらえないことは少なくありません。医療的ケア児を育てる家庭からも、訪問看護の現場からも、小児看護で十分な経験を積んだ看護師を望む声は多く、人材の確保と、人材を育成する研修の積極的な実施が課題となっています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

新潟県立看護大学 看護学部 臨床看護学領域 小児看護学 教授 大久保 明子 先生

新潟県立看護大学 看護学部 臨床看護学領域 小児看護学 教授 大久保 明子 先生

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小児看護学

先生が目指すSDGs

メッセージ

看護の対象者は一人ひとり、年齢も性格も、生活スタイル、価値観まですべて異なります。その人に適した看護は何かをじっくり考えアイデアを出し、創意工夫することが必要ですが、それこそが看護の醍醐味(だいごみ)です。
小児看護の現場は大変なことがたくさんありますが、子どもたちの何気ない仕草や、時おり見せてくれる笑顔は癒やしを与えてくれます。小さい体で治療に耐える姿と、それに寄り添う家族の前向きな姿勢からパワーももらえます。人の役に立ちたい、人に関わることが好き、というあなたを待っています。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

新潟県立看護大学に関心を持ったあなたは

新潟県立看護大学は「看護学」に特化した県立の単科大学です。学部から大学院博士後期課程まで開設しており、看護学のエキスパートが一貫した看護教育課程を提供しています。
地域とのつながりを重視し、地域と連携した教育カリキュラムを実現しているほか、令和4年度入学生より、「新潟学」「総合実習Ⅱ(地域包括ケア実習)」等、地域志向科目を新設します。
さらに、個々の学生の関心により看護学の専門分野が学べる科目「新生児看護論」「認知症ケア論」「エンドオブライフケア論」等も始まります。
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