成長をつづける看護師が持つ力、それを引き出す看護教育学
ずっと成長できるプロフェッショナル
看護教育学はその名のとおり、看護師の教育について考える研究分野です。看護学生の教育だけでなく、医療の現場で働く看護師の専門性・キャリアを高める教育や環境も大切なテーマです。
看護師は生涯にわたって成長できるプロフェッショナルであり、一人ひとりの成長を支えるために看護教育学のさまざまな研究活動が行われています。
仕事を辞める人・辞めない人の違いは?
例えば、1年以内に病院を辞めた新人看護師と1年以上継続できた新人看護師とで、共通する・しない経験を見つけ、1年目を乗り越えて働き続けるために何が大切なのかを探った研究があります。研究の結果、「失敗した」「先輩に厳しくしかられた」といったネガティブな経験も、「看護がうまくいった」「先輩が助けてくれた」といったポジティブな経験も、共通していることがわかりました。
違いがあったのは、うまくいかなかったときの態度や考え方です。どちらも悩みはしますが、継続できた人はどうすればよかったのか具体的な解決策を見つけようとしました。それに対して、離職した人は「自分は看護師に向いていない」というように抽象的に考える傾向が見られたのです。
客観的に振り返ると見えてくる患者の気持ち
問題を具体的にとらえる力を育てる方法の一つが、うまくいかなかった場面の患者との会話やお互いの反応・行動をすべて書き出して振り返る「プロセスレコード」です。そのときの状況を客観的に考えることができるため、例えば「患者がだまりこんだのは、『がんばりましょう』という声かけをプレッシャーに感じたからでは」などのように、問題点が見えてくることがあります。また、「本当は不安なのかもしれない」など隠れた患者の気持ちを考えたり、「一生懸命になると一方的に話してしまうことがある」など自分自身の言動の癖や特徴に気づくきっかけになったります。
看護学生・看護師はこのような学びを通して、失敗から学ぶ力や自分らしいコミュニケーションの方法を身につけ、成長していくのです。
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先生情報 / 大学情報
神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部 看護学科 教授 宮芝 智子 先生
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