教育・保育実習で生じる不安やシャイネスを解消するには?
学生が実習で直面する2つの事態とは
幼稚園教諭や保育士の資格を得るためには、幼稚園・保育園での教育・保育実習に行く必要があります。そこでは学生たちは2つの事態に直面します。「実習不安」と「シャイネス」です。実習不安は、実習に行く前から緊張してしまって、普段の実力が発揮できないことを指します。シャイネスは実習中、子どもたちに溶け込めなかったり、的確に行動できなかったりという状態になることを言います。男女や学年で生じる状態に差があり、2回目以降は不安感が減ることがわかっています。
周りの目を気にし過ぎるあまり
シャイネスは、感情・認知・行動面で現れる一種の「ぎこちなさ」のことです。感情・認知・行動の3領域の中では、特に認知的な部分に強く表れる傾向があります。見られていることを過度に意識してしまい、引っ込み思案になったり、行動できずに消極的な態度になったりします。例えば子どもたちの前でピアノを弾くときに、ほかの先生たちの目を意識し過ぎてしまうと、ぎこちない演奏になってしまいます。これは「公的自己意識」が高い状態と言えます。小さい頃から周りの目を意識し過ぎて、「自分はできているか」を過度に考えてきた学生に生じやすい傾向があります。
失敗から学ぶ意識と事前準備で克服
では、どうしたらいいのでしょうか。周りの目を気にし過ぎる場合には、実習は勉強の場であり、それで人生が決まってしまうわけではないことを伝えます。失敗から学ぶことが大切だという言葉かけも有効です。そして自信がなくてシャイネスに陥っている場合には、ピアノの練習をする、絵本の読み聞かせの練習をするなど、事前の準備を入念に行うことで解消できるケースが多くあります。
現在、保育士の数は圧倒的に足りないとされていますが、同時に保育者の質を高めていくことが社会的に求められています。実習中に学生たちが陥ることの多いシャイネスの問題を解決することは、質の高い教育者・保育者を育成する上で非常に大きな意味があるといえます。
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先生情報 / 大学情報
埼玉県立大学 保健医療福祉学部 社会福祉子ども学科 教授 越智 幸一 先生
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