異文化社会の中で、人間関係を円滑にするためには?

異文化社会の中で、人間関係を円滑にするためには?

人付き合いで大切なのは「社会的スキル」

対人関係をうまく築くための技能を「社会的スキル」と言います。対人関係の基本はコミュニケーションです。コミュニケーションは、自分のメッセージを言葉や態度で相手に伝える「記号化」と、そのメッセージを読み解く「解読」に分けられます。記号化と解読の両方の出来具合は社会的スキルの高さを決めています。高いほど対人関係が円滑になります。
また、社会的スキルは文化によって異なるのも特徴です。例えば、日本文化から生まれた社会的スキル、中国文化から生まれた社会的スキルなどがあり、「文化特性」と呼ばれます。これらは共通している部分もありますが、異なった部分でコミュニケーションをとると、「文化的摩擦」や誤解が生まれます。

日本と中国の文化特性とは?

日本人は「察し文化」と言って、言葉に表さなくても、文脈の中で相手の気持ちをくみ取ることが得意です。さらに、あいまいな表現にも長(た)けています。例えば、断るときははっきりと言わず、「考えておきます」などと言う場合です。
一方、中国人は「面子(めんつ)文化」と言って、相手の面子を立てることが得意です。具体的には、お世辞を言ったり、豪華なプレゼントをしたりします。例えば、「爆買い」する商品の多くはお土産用で、「あなたのために、こんなにいいものを買ってきた」というアピールになります。相手の面子を立てることで、相手と関係がより近くなります。

文化的摩擦を回避するために

アンケート調査によると、中国人は日本人に対して「本音と建前があり、表現があいまいで心理的な距離が遠い」と感じています。一方、日本人は中国人に対して「主張が強く、表現が直接的で心理的な距離が近い」と感じています。こうした文化による違いを知っておけば、より良い対人関係を築く上で役立つでしょう。
異文化社会の中で、対人関係を円滑にするためには経験が必要ですが、相手の文化や風習をあらかじめ知って、適応を図るトレーニングを行うのも有効なのです。

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神戸学院大学 心理学部 心理学科 教授 毛 新華 先生

神戸学院大学 心理学部 心理学科 教授 毛 新華 先生

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社会心理学

メッセージ

高校生のうちは、幅広いジャンルの本をたくさん読んでください。その理由は、本の中には、興味や関心を持つキーワードがたくさん潜んでいるからです。本はいろいろなことを教えてくれる、とてもいい「お友だち」です。本を読むうちに、どこかでひらめきが生まれるものです。
私もたまたま菊池章夫先生の本を読んでいるとき、「社会化」という言葉から、研究テーマの「社会的スキル」に行き着きました。本を読むことは、将来どんなことがしたいのか、何になりたいのかを知るヒントになります。

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