障害者が働きやすい職場 企業などに求められる支援とは?

障害者雇用の課題
日本では障害のある人が企業に就職できない時代がありました。しかし社会が変化して法律などが整備されたことで、障害を抱えながらも企業で働く人が増えています。例えば厚生労働省は、障害者の法定雇用率を定め、企業の規模に応じて一定数の障害者を雇うことを義務づけました。法定雇用率はだんだんと上昇しているものの、障害のある社員との接し方がわからずに課題を抱えている企業も見られます。
企業に求められる支援のありかた
障害者も働きやすい職場作りのヒントを探ろうと、企業で長く勤めている知的障害者を対象にアンケート調査が実施されました。すると本人の努力のほかに、企業、家庭、学校からの支援がきちんと行き届いていると、職場に定着しやすいことがわかりました。
企業の支援で効果的なものの一つが、障害のある社員を「特別扱いしないこと」です。常に支援が必要だ、というスタンスで接すると、本人のプライドを傷つけることがあります。必要な配慮はするものの、あくまで一人の社員として接することが働きやすさにつながっていました。必要な配慮とは、曖昧な表現を避けて、なるべく具体的な指示を出すことなどです。
家庭と学校ができること
また、家庭からの支援では、「質問をしすぎないこと」が重要だとわかりました。職場での出来事などを根掘り葉掘り質問されて、本人がつらい気持ちになってしまうケースがあります。できるだけ本人の自主性を尊重して、細かく聞きすぎないことが働きやすい環境作りにつながるのです。
早いうちから特別支援学級の教員が家庭と連携して、基本的生活習慣を身につけさせることも重要です。「食事後は食器を片付ける」などの日常的な役割をこなすうちに、「自分にはやらなければいけないことがある」と自覚して責任感が芽生えていきます。すると職場で仕事を頼まれたときにも、責任を持って取り組みやすくなるのです。ほかにも障害のある人が生き生きと働ける社会を実現するための支援方法を探ろうと、研究が続いています。
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先生情報 / 大学情報

山口学芸大学教育学部 教育学科 教授(学部長)松田 信夫 先生
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