相手も自分も傷つけずに、自分の思いを伝えたい
手伝ってほしいけれど
例えば文化祭の準備が予定より遅れているようなとき、あなたは周囲に手伝ってほしいと声をかけることができますか? 手伝ってくれない人につい怒りをぶつけたり、「自分さえ我慢すれば」と何も言えなかったり、あるいは「暇な人は良いよね」と嫌みを言ってしまうことはないでしょうか。
こうした伝え方ではなく、自分も他人も大切にしつつ、自分が言いたいことを伝える心理学的な手法を「アサーション」といいます。アサーションは社会の中で周りの人びとと良好な関係を築き、ともに生活していく「ソーシャルスキル」においても重要な役割を果たします。
3つのポイント
アサーションは「Feeling=自分の気持ち」「Explanation=そう思う理由」「Request=相手に対する要求」という3つのポイントから成り立っています。文化祭の例では、Feelingは「準備が遅れて困っている」、Explanationは「一人では終わりそうにないから」、Requestは「手伝ってほしい」となります。まずはこれらを正しく認識し、そのうえで「相手に構わず怒りをぶつけて関係を壊さない」「相手が頼みを聞いてくれやすくなるように伝える」「困っていることをストレートに表現してみる」といった方向に、自分の言動を変えてみることが大切です。
実践してみること
アサーションを含めたソーシャルスキルは、大学の心理学科などで学ぶことができます。ある研究で、そうしたスキルを学んだ学生に対してアンケート調査などを行い、自分のソーシャルスキルを評価してもらったところ、自分の気持ちに気付きやすくなった、周囲の人たちとの関係づくりに役立った、と感じる学生が一定数いることがわかっています。
もちろんこうした手法や理論を知ることだけでは大きな変化は期待できません。友人との付き合いやアルバイト先などで実践してみることが重要です。そうした体験が学びにつながるだけでなく、自らのソーシャルスキルを高めることにつながる点も、心理学の魅力なのです。
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先生情報 / 大学情報
広島文教大学 人間科学部 心理学科 教授 福田 雄一 先生
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