相手も自分も傷つけずに、自分の思いを伝えたい

相手も自分も傷つけずに、自分の思いを伝えたい

手伝ってほしいけれど

例えば文化祭の準備が予定より遅れているようなとき、あなたは周囲に手伝ってほしいと声をかけることができますか? 手伝ってくれない人につい怒りをぶつけたり、「自分さえ我慢すれば」と何も言えなかったり、あるいは「暇な人は良いよね」と嫌みを言ってしまうことはないでしょうか。
こうした伝え方ではなく、自分も他人も大切にしつつ、自分が言いたいことを伝える心理学的な手法を「アサーション」といいます。アサーションは社会の中で周りの人びとと良好な関係を築き、ともに生活していく「ソーシャルスキル」においても重要な役割を果たします。

3つのポイント

アサーションは「Feeling=自分の気持ち」「Explanation=そう思う理由」「Request=相手に対する要求」という3つのポイントから成り立っています。文化祭の例では、Feelingは「準備が遅れて困っている」、Explanationは「一人では終わりそうにないから」、Requestは「手伝ってほしい」となります。まずはこれらを正しく認識し、そのうえで「相手に構わず怒りをぶつけて関係を壊さない」「相手が頼みを聞いてくれやすくなるように伝える」「困っていることをストレートに表現してみる」といった方向に、自分の言動を変えてみることが大切です。

実践してみること

アサーションを含めたソーシャルスキルは、大学の心理学科などで学ぶことができます。ある研究で、そうしたスキルを学んだ学生に対してアンケート調査などを行い、自分のソーシャルスキルを評価してもらったところ、自分の気持ちに気付きやすくなった、周囲の人たちとの関係づくりに役立った、と感じる学生が一定数いることがわかっています。
もちろんこうした手法や理論を知ることだけでは大きな変化は期待できません。友人との付き合いやアルバイト先などで実践してみることが重要です。そうした体験が学びにつながるだけでなく、自らのソーシャルスキルを高めることにつながる点も、心理学の魅力なのです。

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広島文教大学 人間科学部 心理学科 教授 福田 雄一 先生

広島文教大学 人間科学部 心理学科 教授 福田 雄一 先生

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臨床心理学、社会心理学

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メッセージ

スティーブ・ジョブズの有名なスピーチに「Connecting The Dots(点と点をつなぐ)」があります。やっていることが後でどうつながるかはわからなくても、自分が好きなこと、やりたいことに全力で取り組んでみようよ、というメッセージです。私も学生時代に「すごい」と思った心理学を追いかけ続けたことが、現在の自分につながっています。何かと「コスパ」や「タイパ」が求められる昨今ですが、あなたにはそうしたことにとらわれず、自分が面白いと感じたことに全力で取り組んでほしいです。

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教育学部では幼稚園、小学校、中学校・高等学校(国語・英語)の教員免許に加え、保育士資格なども取得可能。人間科学部には人間福祉・心理・人間栄養・グローバルコミュニケーションの4学科を設置。取得した資格を生かした就職率の高さが特徴。中・四国地区最大級の英語学修専用施設「BECC」には外国人教員含むスタッフが常駐し、英語学修をサポート。English onlyのフロアを設け英語漬けの空間で「英語を使いこなせる力」が身につきます。また、フィリピン・セブの海外姉妹校へ安価に留学できる制度もあります。