「補完財」という一つのコンセプトでさまざまな現象が理解できる!
ミッション実現のための経営戦略
「経営学」では、企業経営の目的は「お金もうけ」ではなく、企業のミッション(使命)を達成することだと考えます。例えば、資生堂のミッションは「美しい生活文化の創造」であり、このミッションを実現するために化粧品を売ったり、レストランを運営したりするのです。
ミッションを実現していくために必要となるのが「経営戦略」です。簡単に言うと、ミッションを実現していくための計画・シナリオです。「どのような新製品を販売するのか」「他企業の製品との違いをどうアピールしていくか」といったさまざまな事柄を考慮し、ミッションを実現する道筋を考えていくのです。
経営戦略論の「フレームワーク」「コンセプト」
経営戦略論とはこの経営戦略に関するさまざまな理論ですが、大学卒業後に社会で活躍していくあなたにとってまず役立つのはその「フレームワーク(枠組み)」や「コンセプト(概念)」でしょう。経営戦略論には、さまざまな現実に共通する要素に着目した理論的なフレームワークやコンセプトが存在します。それらを使うことで複雑な現実をシンプルに理解できるようになります。
「補完財」というコンセプト
例えば、「補完財」というコンセプトです。あなたは、「タイヤメーカーがガイドブックを発行する理由」「鉄道会社が地方特産品を売る店を開く理由」をわかりやすく説明することができるでしょうか? 一見すると異なる2つの現象は「ある製品・サービスの消費者にとっての価値を増大させるような製品・サービス」という補完財というコンセプトでクリアに理解することができます。タイヤメーカーは、ガイドブックによって車でのドライブ、およびそのためのタイヤの魅力を増し、タイヤの使用頻度増加を狙っていると言われています。鉄道会社は地方特産品の良さを都市の人々に知ってもらうことで地方旅行およびそのための鉄道輸送の魅力を増し、鉄道利用者増加をもくろんでいるととらえることができるのです。
参考資料
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先生情報 / 大学情報
長野県立大学 グローバルマネジメント学部 グローバルマネジメント学科 准教授 首藤 聡一朗 先生
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