人の体験そのものをつくり出すUXデザインの面白さ
「体験」をデザインする
一般的に「デザイン」という言葉は、絵画など美術寄りのイメージでとらえられます。しかし、デザインは目的を実現するための創意工夫や、その表現としての外観や機能などを含む、広い意味合いの言葉です。特に最近は、人間にとっての体験を設計する「UX(ユーザーエクスペリエンス)デザイン」が注目されています。モノがあふれる時代にあって、本当に人々から求められているものは何か、どうすればユーザーに喜んでもらえる体験を創り出せるかという視点から、製品やサービスをデザインしていく手法です。この体験のデザインのことを「コトづくり」と表現することもあります。
ユーザーを知ることから始める
体験をデザインするには、まず対象とするユーザーの理解が必要です。実際にユーザーの行動を観察したりインタビューしたりすることもありますが、ユーザーの想いに共感して課題を発見することが重要です。例えば、聴覚に障害がある人にとっての買い物を知るには、実際にその環境を体験して、ユーザーの想いを探ります。すると、スーパーマーケットで商品を探す際に店員に尋ねることや、レジで話しかけられた内容がわからないなど、さまざまな不安要素が見いだされます。こうした問題を改善するために筆談用のペンとノートや、指差しでやり取りできるカードなどのツールを用意することもUXデザインの役割です。
持続可能なビジネスをデザインする
カフェなど飲食店の運営にもデザインの手法が利用できます。まずは対象となるユーザー像を想定し、その人たちが何度も足を運びたくなるようなコンセプトを考えます。しかし、いくら素晴らしいアイデアでも、経営に必要なコストと売上の収支バランスがマイナスであれば、すぐに閉店に追い込まれてしまいます。これはビジネスとしてもデザインとしても失敗です。カフェのコンセプトから経営に必要なコストまでを試算して、持続可能なビジネスをデザインすることが重要で、ここには経営工学、人間工学、UXデザインのすべてが役立ちます。
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先生情報 / 大学情報
神奈川大学 工学部 経営工学科 教授 髙野倉 雅人 先生
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