国境を越える女性たち ~「国際社会学」の視点で考える~
「国際社会学」とは
人間はしばしば国境を越えて移動します。移民、難民、移住労働者、外国人住民などと呼ばれる人々です。彼らは一見、自由意思によって移動しているように見えますが、すべての人がそうだとは限りません。また、彼らを受け入れる側の社会にも、さまざまな課題が生じます。
「国際社会学」とは、国境をまたいで起こるさまざまな社会現象を、社会学の手法を使って研究する学問です。現代はグローバル化によって、「人の移動」が大規模に、複雑に進行する一方、新たな社会問題や社会的な課題が生まれています。そうした社会現象の実相を明らかにすることも、国際社会学のテーマです。
女性と子どもに注目する視点
国際社会学の中で、女性や子どもの存在は、これまで国境を越えて移動する人たちとして正面からとらえられてはきませんでした。しかし、働くため、結婚するために国境を越える女性たちは、決して珍しくはありません。女性が国境を越えて移動して、子どもを持てば、その子どもは生まれながらに外国とつながっていることになります。こうした女性や子どもたちの生活や意識がどのようになっているかを調査し研究することも、重要な視点です。
外国人をどう受け入れる? 多文化共生とは?
日本の社会は、民族や国籍の多様性を認めることに消極的で、現在でも原則的には、外国出身の単純労働者を認めていません。しかし日本は近い将来、深刻な労働力不足が起こると予想されており、不足する労働力を補うためにさまざまな試みが行われています。家事労働や介護の現場に、フィリピンやインドネシア、ベトナムなどからの労働者を受け入れる動きもその一つです。
その際、何より大切なのは、移動して来る人がよりよい人生を送れ、日本社会が活性化する方向に向かうことです。そのためには、人の移動によって何が起こるのかを研究し、どうすれば「ひずみ」を生まずに共生できるのか、多文化間でのよりよいコミュニケーションのあり方を研究することが必要です。国際社会学はその一翼を担うことが求められているのです。
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先生情報 / 大学情報
フェリス女学院大学 グローバル教養学部 心理コミュニケーション学科 共生コミュニケーター専攻 ※2025年4月開設 教授 小ヶ谷 千穂 先生
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