ネガティブ思考をラクにする認知行動療法
ネガティブ思考が元になる不安やうつ
人間がストレスを感じたり、不安やうつの状態に陥ったりするのは、状況や環境が要因の場合もあります。一方、多くの場合、その人の普段の生活の中での行動や思考パターンも影響しています。例えば、たくさんの人の前で発表をしなければならない時、「失敗するんじゃないか」というネガティブな思考に支配され、人の顔を見られなくなり、早口になりとても緊張する、というケースです。こうしたネガティブ思考を楽にするためには、心理学的なアプローチとして、「認知行動療法」が有効だとされています。
認知行動療法
認知行動療法とは、ものの見方や考え方を変えていく認知療法と、行動パターンや対人関係を変えていく行動療法を総合する形で発展してきました。認知療法では、日常の考えを明確にし、自分を客観視することで、視点を変えることができるようになります。ネガティブ思考にとらわれている人は、その思考こそが現実そのものだと思ってしまいがちですが、多様な視点というものに気づくことで、その思考が絶対ではないと知ることができるのです。
行動療法では、苦手な場面を実践し、個人のペースで少しずつ成功する体験を増やしていきます。相手の目を見るのが恥ずかしいという人も、あえてそれを実行することで慣れていくことができます。そして、「できた」という体験が、苦手意識を減らしてくれます。カウンセリングにおいては、これらの方法をうまく取り入れていきます。
アスリートのパフォーマンスを向上させる
大相撲の世界では、心・技・体という言葉があります。力があっても技が優れていても、心理的な状態が良くなければ、本来のパフォーマンスを出すことができません。気持ちや考えの力は大きく、自分を弱くすることもあれば、予期せぬ強いパワーを生むこともあります。認知(考え方)と行動とは、連鎖的につながっています。認知行動療法は、ネガティブ思考から抜け出すだけでなく、アスリートのパフォーマンスも向上させるパワーを秘めています。
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先生情報 / 大学情報
武蔵野大学 人間科学部 人間科学科 教授 城月 健太郎 先生
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