誰にでも可能性のある「依存症」、その支援に必要なこと

誰にでも可能性のある「依存症」、その支援に必要なこと

違法薬物を使用した人の行方

あなたも違法薬物を使用した芸能人がバッシングされる様子を見たことがあるでしょう。欧米でもそのような放送はありますが、依存症の治療をスタートしたことや、支援施設に入所したことなども報道され、回復後には再び活躍している俳優やアーティスト、スポーツ選手などが大勢います。
規律を維持するために、違反を容認せずに厳しく対処することを「ゼロトレランス(不寛容)方式」といいますが、違法薬物に関しては初回の使用を抑止する効果はあるものの、再使用を防ぐ効果はないとわかっています。

誰にでも依存症になる可能性がある

「ネズミの楽園」という有名な実験があります。1匹だけ檻に入れて孤立させたネズミに、ただの水とモルヒネ水の2種類を与えたところ、そのネズミはモルヒネ中毒になりました。一方、仲間と放し飼いにしたネズミに同じ2種類の水を与えても、モルヒネ水は飲みませんでした。
人間も同じで、つらい状況にあるときに、その苦痛を緩和しようとして何かに依存していきます。依存症になるのは意志が弱いからというのは誤解で、誰でも環境によっては依存症になる可能性があるのです。依存症にはさまざまな種類があり、アルコールやたばこ、処方薬などの依存性のある物質のほかに、ギャンブルや万引などの行動、恋愛などの人間関係に依存することもあります。

依存症から回復するには

依存症からの回復には、早期介入・早期支援が大切です。医療機関で再発予防プログラムを受けながら、仲間とつながり、生活を整えていくことが回復への1歩となります。当事者同士が支え合ってリハビリテーションを行う施設も全国にあります。回復を支援するときに重要なのは、健康的な食事と睡眠などの生活習慣を整えること、安心できる住まいがあること、仕事などの役割や生きる目的を持つこと、支え合える仲間がいることです。この4つを支援することで自己肯定感を取り戻し、依存症の根底にある苦しさをやわらげて、その人自身の人生を取り戻すような回復につなげられます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

高崎健康福祉大学 健康福祉学部 社会福祉学科 教授 池田 朋広 先生

高崎健康福祉大学 健康福祉学部 社会福祉学科 教授 池田 朋広 先生

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社会精神保健学、社会福祉学

メッセージ

依存症は、孤独や苦しみから逃れたいというメッセージです。もしも、あなた自身が困っているとき、または誰かを助けたいと思ったときは、一人で抱え込まずに誰かに話しましょう。あなたの知らない、対処法が必ずあります。支え合っていける仲間が、きっといます。困っている人を助ける方法を知りたいと思ったら、一緒にソーシャルワークを学んでみませんか。ソーシャルワークを学ぶということは、その人に合った助け方知り、その支援技術を身につけるということです。あなたを社会福祉学科でお待ちしております。

高崎健康福祉大学に関心を持ったあなたは

高崎健康福祉大学は「あなたの笑顔が、わたしの笑顔」となるために7つの道で考え抜く大学です。乳幼児からお年寄りまで、あらゆる世代をカバーする「健康」「医療」「福祉」だけに特化した5学部・8学科をそろえ、人を支えることの出来る、前向きなチカラを育てています。