考えを見直すと悩みが軽くなる
「認知行動療法」という支援の方法
公認心理師、臨床心理士などの心理の専門家が行う支援の方法の一つに、心理療法やカウンセリングがあります。心理療法には多くの種類があり、その一つが「認知行動療法」です。悩んでいるときには自然と視野が狭くなったりしますが、「認知行動療法」では、考え方の見直しなどを通して、その人の辛さが少しでも和らいだり、困りごとが改善することを目指していきます。公認心理師は心理の専門家ですが、悩んでいるその人自身のことを一番よく知っているのはご本人です。そこで、心理師と相談に来られた方とが、ある種の専門家同士のように各々が役割を担って、チームのように協力し合うことを大切にしています。心理師が答えを知っているのではなく、悩んでいる人と一緒に答えを探していくような関わり方です。
ソクラテス式質問
考え方を見直すときに使われるのが「ソクラテス式質問」です。質問を投げかけながら対話を進めることで、相談に来られた方は、いろいろなことに気付いていきます。質問攻めではなく、心理師が答えを知っていてそれを当ててもらうわけでもありません。その人にあったペースで対話が進み、質問に答えることで、また一緒に考えることで、何に困っているかが見えてきたり、対応策の候補があがってきたりします。心理師は、考え方に対して不適切であるとか、間違っているというシンプルな結論づけはしませんし、考えを見直す必要のないこともあり、その人に合わせた支援という柔軟さが大切です。
支援の方向
考え方を見直すといっても、人の考えは簡単に変わるというものでもありません。それは、多くの人にとって、そのような考え方をするようになったわけ、つまりそう考えるようになった経緯があるからです。それでも、自分とは違う視点があると知るだけでも、行き詰っていたような感じが少し楽になることもありますので、「認知行動療法」では、小さな、ささやかな目標を立てて、どうすると相談に来られた方の助けになるのかを模索していきます。
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先生情報 / 大学情報
上智大学 総合人間科学部 心理学科 准教授 毛利 伊吹 先生
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