子どもを夢中にさせる授業には、先生の認知が関わっている
授業中はスキルよりも認知が大事?
先生は授業計画に基づいて授業をします。問いかけの工夫や板書の仕方など、わかりやく教えるためのスキルも身につけて授業に臨みます。しかしどんなにスキルがあっても、相手は子どもです。その日の気分や雰囲気によって授業の途中で退屈し、集中できなくなることは少なくありません。そうした子どもの変化を、先生は授業を進めながらどのように気づき、対応しているのでしょう。その疑問を解くカギは、授業中の認知にあります。
ベテランと若手で認知は異なる
授業を進めながら「うまくいっている」または「いっていない」状況を、先生たちはどう見極めているのでしょうか。それを調べるために、授業風景を撮影し、認知的側面から検証した実験があります。個人差はあるものの、ベテランと若手の先生にはある違いが見られることがわかりました。
若手の先生は子どもの姿勢を見る傾向にあります。夢中になって姿勢を崩しているのかもしれないのに、授業態度が悪いととらえる場合もあります。一方でベテランの先生は、姿勢も見ますが、それ以上に子どもの顔をよく見ます。学習時の感情を表す指標が表情に出ることを認知しているからです。先生の問いかけに対する子どもの表情や視線など、小さな反応も見逃しません。また、とっさの発言を過去の発言と結びつけて思考しながら、1人1人の子どもに応じた授業を展開し、さらなる興味や関心を引き出すのです。
先生にも「学び」が必要
子どもが夢中になれる授業を行うために、先生も学び続けることが求められています。先生が学び続けるための方法は、専門書や研修も1つですが、何より大事なのは、目の前の子どもの様子をよく見ること、つまり認知にあります。子どもの様子がよく見えていれば、授業を改善するためのヒントがきっと見つかるはずです。しかし、認知する力には個人差があります。教師の学びをサポートするために、認知の研究成果を生かし、教師教育の教材を開発することが、研究者にも期待されています。
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先生情報 / 大学情報
武蔵野大学 教育学部 教育学科 講師 中村 駿 先生
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