コウノトリを地域の誇りに 「持続可能な地域」をつくるには?

コウノトリを地域の誇りに 「持続可能な地域」をつくるには?

持続可能な地域づくりとは

1990年代から、複数の省庁で環境と経済・社会の統合的発展のモデル地域づくりが推進されてきました。エコポリスやエコシティのように環境問題を地域全体で解決しようという段階から、環境未来都市たSDGs未来都市のように、環境保全と経済の活性化、社会問題の解決等を同時に実現する方向に展開されてきています。持続可能な地域づくりでは、持続可能な発展の4つの規範、すなわち、「環境・資源への配慮」、「社会・経済の活力」、「公正への配慮」、「リスクへの備え」のすべてを満たすようにしていくことが求められます。

コウノトリの野生復帰をコアとした事例

その先進的な事例の1つが、兵庫県豊岡市の取り組みです。同市では、コウノトリの野生復帰のための環境整備として、化学肥料や農薬を使わず、コウノトリのエサとなる生き物を育む農法に取り組んできました。その農法でできたお米をブランド化し、手間に見合った価格で販売しました。1980年代からの取り組みの結果、2010年代にはコウノトリの野生復帰に成功しました。この取り組みの優れたところは、市・県・国といった行政、JAや農家、地元企業が連携して、取り組みを進めていることです。参加により一人ひとりが地域への誇り(シビックプライド)を高めるようになり、それが将来にわたる地域の財産になっています。

成功要因を明らかにし、他地域へ

地域の調査の結果、コウノトリを育む農法が普及した要因は、生成期から波及期に至る各フェーズで、様々な政策的な取り組みが適切に実施されたことだとわかりました。先進事例の研究では、現地の様々な立場の方々へのしっかりとした調査を行い、現象を解明し、成功要因を明らかにします。他地域への展開を容易にするために、複数の先進地域の成功要因を共通項で整理するなどして、実践知を形式知に変えていきます。持続可能な地域づくりの先進的な取り組みは、まだ一部の地域に留まっています。さらに広めるために、実践的な研究とその成果の活用が必要とされています。

参考資料

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

武蔵野大学 工学部 サステナビリティ学科 教授 白井 信雄 先生

武蔵野大学 工学部 サステナビリティ学科 教授 白井 信雄 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

サスティナビリティ学、環境政策学

先生が目指すSDGs

メッセージ

人類が取り組まねばならない最優先の課題として、環境問題、特に気候変動への対応や生物多様性を守るということがあります。こうした環境問題への対策を地域で積極的に進めるためには、環境問題の解決を通じて、地域経済の活性化や住民のしあわせな暮らしを実現していく工夫が必要になります。本学では、2023年4月に環境システム学科を発展させ、サステナビリティ学科を設置しました。環境・社会・経済の問題のつながりを捉え、問題を同時に解決する方法を探求することが、本学科の重要な学びのテーマです。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

武蔵野大学に関心を持ったあなたは

2024年に100周年を迎えた武蔵野大学は、同年4月、ウェルビーイング学部ウェルビーイング学科を新設しました。2023年4月には、社会と環境をデザインし実現する、文理融合型の「サステナビリティ学科」を開設し、近年では、起業家精神を育成する「アントレプレナーシップ学科」や私立大学初の「データサイエンス学科」を新設。常に時代の変化を先取りし、13学部21学科の文・理・医療・情報系の総合大学へと発展・拡大を続けています。