困ったあなたを助けてくれる「哲学的思考」って何だろう
その共同体は、なぜ存続できるのか
人々が集まって組織される集団を、共同体と呼びます。意見の違いから解散するケースも多い中、2千年以上も存続する共同体があります。それは仏教やキリスト教、イスラム教といった「宗教」です。宗教がこれほど長く存続できるのは、「象徴」と「儀礼」という2つの仕掛けが機能しているからです。象徴とは、例えばキリスト教で言えば十字架で、見ると人はキリスト教をイメージします。儀礼とは毎週日曜日に教会に通うことで、キリスト教信者という意識が内面化され、そしてそのイメージを存続させていくのです。この象徴と儀礼の2つが機能して、宗教の教えが倫理観や価値観となることで、その人は共同体の一員となります。
まちづくりにも応用できる象徴と儀礼
象徴と儀礼の考え方は、まちづくりにも応用できます。多くの地域は過疎化という課題を抱えていて、自治体は住民に住み続けてもらうために知恵を絞っています。一方、共同体を存続させる象徴と儀礼という視点で見ると、過疎の原因の1つは「仲間意識の希薄化」です。仲間意識がなくなると、その集団はいつしか解散していきます。例えば、地域の祭りはその地域の象徴と儀礼として機能し、地域の仲間意識の持続につながります。また、地域で毎年行われる何らかの共同作業も儀礼として機能し、地域の仲間意識の持続につながります。象徴と儀礼の2つがうまく機能して心地よい暮らしが実現すれば、人は住み続けるでしょう。
哲学的思考で発想の転換を
企業をはじめとする組織では、課題を発見し現状を踏まえた上で解決方法を考えますが、ここで哲学的な思考をすると、また別の考え方が生まれます。
哲学には、実在論と観念論という2つの議論があります。実在論は、今見えている世界をもとにその先を考えます。それに対して観念論は最初に理想社会を考えて、それを現実世界に落とし込んで考えます。このような哲学的な思考の違いを意識するだけでも見方が変わり、それが新たな発想を生み、課題解決に導く可能性となるのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。