知る・狩る・食べる ~野生動物の狩猟管理学~
野生動物による被害が増えている
増えすぎた野生動物による被害が全国で問題となっています。本来、自然界の生態系では食物連鎖などにより、各動物の個体数はある程度バランスがとれています。しかし、なんらかの原因により生態系が崩れ、特定の野生動物が増えすぎると、農業や林業への被害が増加する場合があります。そこで必要となるのが、捕獲により野生動物の個体数などを管理することです。しかしそれには単に捕獲するだけではなく、幅広い知識と技能が必要です。こうした野生動物の管理を一貫して担うための総合的な学問が、「狩猟管理学」です。
新たな狩猟管理システムを研究
昔は日本でも狩猟を仕事としている人がたくさんいましたが、時代とともに減り、現在は個体数管理のための捕獲は、主に趣味で行うハンターに頼っているのが現状です。その中で現在、新しい狩猟管理のプロを育てるシステムを構築することが求められています。
野生動物の個体数管理に必要なのは、動物の生態や行動などを知る生態学、狩猟に関わる法律や制度の習熟、銃器の取り扱いなどの捕獲技術、捕獲した野生動物を食用とするための食肉衛生管理など、幅広い分野の知識です。野生動物の観察や、銃器を扱うなど、フィールドワークも多いのが特徴です。
狩りでしとめたエゾシカをどうする?
例えば、北海道では主にエゾシカによる農林業への被害が深刻なので、増えすぎたエゾシカの個体数管理が行われています。その中でひとつの課題となっているのが、捕獲したエゾシカの食肉利用です。現在は約半分はハンターが食材として自家消費し、1~2割は飲食店や加工業者へ流通し活用していますが、2~3割は廃棄されています。今後、持続的に個体数管理をしていく上では、有効的な鹿肉の活用法を考えていくことも必要です。
また動物保護の観点から狩猟に反対する意見もあり、理解を求める啓蒙活動も必須と言えます。狩猟管理学は野生動物と人間の共存を考えていく学問でもあるのです。
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先生情報 / 大学情報
酪農学園大学 農食環境学群 環境共生学類 准教授 伊吾田 宏正 先生
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狩猟管理学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?