植物の視点からみた生物の陸上進出や生物多様性
コケ植物から学ぶ、進化の歴史
コケ植物は、植物の進化の過程において重要な位置を占める植物です。植物の仲間はもともと水中に現れて、何億年も昔に陸上へ進出しましたが、コケ植物は、その陸上に上がった頃の状態を残した生物だと考えられているためです。
種子植物は、陸上に適応しています。一方、藻類は水中で生活するものが多く、細胞分裂も種子植物とは違いがあります。その他にも、コケ植物は精子で殖えるなど種子植物と藻類の中間的な性質をもっており、そういうところからも陸上へ上がった段階の体制をもつ生物であることがわかります。また、藻類の一部には、スミレモのように大気中で生活をする藻類がいます。これらは、陸上植物とは独立して陸上進出できた生物だと考えられますが、コケ植物とスミレモの共通性を調べることで、植物の陸上進出の際にカギになる現象が明らかにできると考えられます。
系統・分類学は、生物学の基礎
生物の研究にはさまざまなアプローチがありますが、その中でも系統・分類学は、生物の「戸籍」を管理するような、もっとも基礎になる分野の一つです。昔は見た目の形で分類していましたが、現在はDNAなどの配列情報に対して統計学的な処理を行い、生物の進化の過程を推定しています。この系統解析の結果を分類に反映させて、学名や所属の変更などを行います。非常に基礎的な研究分野ですが、生物名を扱う世界中の論文で学名が使われているように、多くの学問分野を支えています。
植物や植生を知り、地域に役立てる
生態系のもつ役割にはさまざまなものがありますが、植物はその中で大きな割合を占めています。また、さまざまな生物の生活の場ともなっています。植物の研究は、生態系の研究とも密接に関わっており、植物群落を分類し、その分布を把握することも重要な研究となります。地域の植生は、地理情報システム(GIS)のベースにもなっており、防災にもつながる重要な情報です。また、世界遺産宮島の生物多様性を守るための緑化や地域の環境教育にも活用されています。
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先生情報 / 大学情報
広島大学 理学部 生物科学科 准教授 坪田 博美 先生
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分類学、分子系統学、植生学、生態学先生が目指すSDGs
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