運動パフォーマンスを高める「ストレッチング」、でもやりすぎると?

運動パフォーマンスを高める「ストレッチング」、でもやりすぎると?

いまやスポーツも「科学する」時代!

サッカーや野球、陸上などスポーツの試合前や試合後に、選手たちがストレッチングを行っているのをよく見かけます。これは運動パフォーマンスを向上させるためや、運動後のクールダウンのためです。いかに効率よく運動パフォーマンスを高めるかなどを研究するのが、「トレーニング科学」という分野です。その中でもいま、注目されているのが、運動前に行う「ストレッチング」についてです。運動前のストレッチングは必要不可欠と考えられてきましたが、最近では過度のストレッチングは、運動パフォーマンスを低下させる場合があることがわかってきました。

「ダイナミックストレッチング」とは?

ストレッチングには大きく分けると動的ストレッチング(ダイナミックストレッチング)と静的ストレッチング(スタティックストレッチング)があります。片方の腕を上げて、もう片方の手でぐーっと引っ張って伸ばすなどのストレッチングは、スタティックストレッチングです。
それに対してダイナミックストレッチングは、外部からの負荷をかけずに自らの筋力を使って、可動域内で筋肉の曲げ伸ばしなどを行う方法です。多くのトップアスリートが実践しており、箱根駅伝で好成績を上げた大学もこのダイナミックストレッチングを取り入れています。

健康社会に役立つトレーニング科学

持久走におけるダイナミックストレッチングの効果についての臨床実験では、実際にアスリートたちがその結果を踏まえて、より効率的なストレッチング方法を実践する段階にきています。このようにトレーニング科学の世界は、研究結果がダイレクトに実践につながるものです。
今後はさらにスポーツ選手だけでなく、健康維持のための運動効率のアップや、リハビリトレーニングなど、健康分野への応用やスポーツ栄養学も含めた、総合的な研究を進めていくことが重要となるでしょう。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

酪農学園大学 農食環境学群 食と健康学類 教授 山口 太一 先生

酪農学園大学 農食環境学群 食と健康学類 教授 山口 太一 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

トレーニング科学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私は野球をしていましたが、プロの道をめざすまでの活躍はできませんでした。しかし「トレーニング」や「コンディション管理」「スポーツ栄養」などに興味を持ったことで、アスリートをサポートする研究の道が開けました。
「スポーツ科学」や「スポーツ栄養学」は、まだまだ発展途上の分野ですが、それだけに実用性がますます高まっていくと考えられます。またスポーツ選手だけではなく、「生涯スポーツ」分野にも役立つ学問です。スポーツをキーワードに一緒に学んでみませんか?

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

酪農学園大学に関心を持ったあなたは

北海道の政治・経済の中心都市札幌から快速電車で10分、本学はそこに132haの広大なキャンパスを構えています。世界の人口が増幅を続ける中、40%前後の我が国の食料自給率は、今後ますます問題となるのは確実です。そうした環境下にあって、大地を健やかに育て、健康な食物を育み、それを食して健やかな人が育つ。こうした「循環と共生」をテーマに掲げながら、学生一人ひとりの個性や能力を最大限に引き出せるような教育を実践することを使命と考えています。