自動運転の技術開発において重要な組込みシステムとは?
自動運転に使われる種々の最新技術
近年、自動車が無人で走るための自動運転の技術開発が、目覚ましい勢いで進んでいます。そこには、幾多の最新テクノロジーが生かされています。画像処理と地図情報を活用することにより、自分がどこにいるかを判断する「自己位置推定」、高度なセンシング技術で、信号機やほかの車、人を認識する「環境認識」、今いる場所から目的地までの経路を決める「経路計画」、決めた経路に沿って走る「経路追従」などです。それぞれが複雑な技術を要しますが、こうした複数の処理を同時にこなすことで、自動運転は成り立ちます。
大事なのはリアルタイム性
そこで重要になるのは、各々の機能を持つアプリケーションをうまく動かすための、OS(オペレーティングシステム)やミドルウェアといった存在です。アプリケーションを動かすコンピュータの下層部分には、OSがあります。その上層にあるのがミドルウェアであり、OSとともに、最上層にある複数のアプリケーションをスムーズに動かすために重要な役割を果たします。
例えば、複数の処理を同時に行うと通常は時間がかかってしまうものですが、自動運転においては安全を確保するため、情報を即時に分析して決められた時間以内に動作を行うリアルタイム性が必要であり、それをOSとミドルウェアによって実現しています。
組込みシステムを構築する
こうしたアプリケーション、OS、ミドルウェア、およびハードウェアをまとめ、特定の機器を動かすことに特化されたシステムを「組込みシステム」と呼びます。組込みシステムは、自動運転だけではなく、身近にある家電製品からロケットやロボットに至るまでの幅広い機器に使われています。そして場合によっては、そのシステムがオープンソースとして、つまり誰でも利用可能な形にして、技術共有ができるように作られています。そうすることにより、関連ソフトウェアの開発がしやすくなり、業界全体の技術の進展に寄与することになるのです。
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先生情報 / 大学情報
埼玉大学 工学部 情報工学科 准教授 安積 卓也 先生
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