講義No.08600 看護学

お母さんと子どもの人生を支える、助産師のやりがい

お母さんと子どもの人生を支える、助産師のやりがい

助産師の仕事、「助産看護」とは

助産師は女性を対象にした国家資格です。助産とは、分娩介助(正常な場合)のことで、助産師の独占業務となります。その業務は幅広く、妊婦や産後女性の心身のケア、妊娠中から始まる母子の関係づくり、新生児の保健指導も含みます。
ほかの看護分野と違うのは、常に母子が対象だということです。妊娠中から妊婦と信頼関係を結び、お産に関わって、育児へと継続的に発展していく、広い意味で人生を支える仕事です。「助産看護」は、そのための方法を学び、深めていく学問領域です。

出産をめぐる変化の中での支援のキーパーソン

助産師は、母子を心身両面からよく観察して、女性が「お母さんの役割」に適応できるよう導いていきます。子どもを持つことはハッピーなことでも、女性の生活は大きく変わるので、いわゆる産後うつや、子どもの虐待につながることもあり、助産師には判断力と細やかな配慮が求められます。この時期の女性は、特にホルモンバランスが変動する時期なので、周囲のちょっとしたひと言で励まされたり、逆に落ち込んだりもするものです。妊娠・出産・子育ての一番の主役は、お母さん、そしてお父さんです。自分たちのやり方を「これでいいんだ」と思えるのが一番大事で、親になるという体験を支えるキーパーソンが、助産師なのです。

地域で子育て支援を

現代は、核家族化で身近に親のモデルがいないことも多く、心理的に、親になるのが難しい世の中と言えます。助産師はその人の生活、育った環境や両親との関係、パートナーとの関係も含めて、母子に寄り添います。
日本では少子化の流れや出産が行える医療施設の減少とともに、周産期医療集約化の動きがあり、医療現場で助産師が担う役割も変わってきています。政策面では、お母さんが地域の中で孤立しないよう、地域の包括支援センターが登場し、そこでも助産師が必要とされています。助産師は地域の保健師などほかの専門職と連携して、母子への切れ目のない支援を行っているのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

高知県立大学 看護学部 看護学科 教授 嶋岡 暢希 先生

高知県立大学 看護学部 看護学科 教授 嶋岡 暢希 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

母性看護学、助産看護学 

先生が目指すSDGs

メッセージ

高知県立大学では、「助産看護学」を看護臨床科目の一つとしてとらえ、統合カリキュラムの中で学習していきます。助産看護学では、女性が子どもを産み育てる力を支えていく看護や助産を追究しています。学生は4年間をかけて、さらには卒業後、生涯にわたって専門職としての研鑽(けんさん)を続けていける能力を獲得するよう、学びを深めています。
将来、助産師になりたい、あるいは出産や子育てに興味があるなら、ぜひ、高知県立大学で一緒に助産看護を学びませんか。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

高知県立大学に関心を持ったあなたは

高知県立大学は、文化学部、看護学部、社会福祉学部、健康栄養学部の4学部で構成しています。高知県は全国と比較して、高齢化で10年、人口減少で15年も先行しています。少子高齢化社会や南海トラフ地震対策など山積する課題を乗り越えて、未来の社会をどう形成するかに、学生と教職員は真剣に取り組んでいます。全学生が地域で活動し、地域の人々とともに学びあう教育に力を入れており、卒業後には、学部で身につけた専門知識を生かして地域で活躍できる人材となることをめざしています。